2020年8月13日 (木)

いすみ鉄道、夏2020 ~(6)小谷松駅でも稲穂とキハ

Img4408
PENTAX K-50
SMC PENTAX-M 35mm F2
1/1000秒 F4.0 (ISO200)
いすみ鉄道 大多喜-小谷松間
2020年8月2日

午後の急行往復は、
昨年末の来訪の際に初めて訪れた、
小谷松駅少し北の直線区間にて。
兄がお気に入りとなったポイントです。

兄は線路際に三脚を構えて正面から狙ってましたので、
こちらは引き続き稲穂と絡めた写真を。
もう今回はこれ一本で押し通します(笑)

本来はネオワイズ彗星用に、と思って持ち込んだ、
SMC-Mの35mm F2。
開放だとボケ過ぎるので少々絞って。
この「35mm F2」というスペックのレンズは名玉が多く、
NikkorとFDも持っていますが、
開放からキリッと撮れて鉄道向けなのはSMCが最右翼。
一方、ボケが綺麗でフワッと撮りたい時はNikkorがお気に入り。
FDは黄変しているので白黒で撮る時に、と使い分けています。

Img4415
PENTAX K-50
SMC PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited
1/1000秒 F4.5 (ISO200)
いすみ鉄道 大多喜-小谷松間
2020年8月2日

上総中野から戻ってきたキハはDAの21mmで。
これもまたオーソドックスの極みみたいな写真です。

K-50に色々とレンズを付けて撮ってみますと、
やはりPENTAXの純正との組み合わせが一番いい色が出ます。
決して「JPEG撮って出し派」なわけではないですが、
K-50とSMCとの組み合わせで撮ったJPEGの画は、
それだけで完成されたもの、という印象のものが多いです。
いいPENTAXのレンズ揃えたいなぁ、と思いつつも、
新品のいいレンズは、このDA 21mmを2006年に購入して以来、
14年間すっかりご無沙汰になっております(汗)

さて、いよいよ次回が最終回。再び第二五之町踏切に戻ります。

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2020年8月12日 (水)

いすみ鉄道、夏2020 ~(5)第二五之町踏切に見た幻影

Img4390_retouch
PENTAX K-50
SMC PENTAX-M 35mm F2
1/800秒 F5.6 (ISO200)
いすみ鉄道 国吉-上総中川間
2020年8月2日
※Photoshopでレタッチ

「ポッポの丘」でクモニ&クハ詣でをした後は、
いすみ鉄道一番の撮影名所、
「第二五之町踏切」方面へ向かいます。

いつも、この踏切へ向かうときは、
線路の南側を併走する国道465号線方面から向かいますが、
今回は田んぼと山に挟まれた農道的な道を一直線に東南下。
つまり、北側から現地入りしました。

すると、いつもは見えない風景が目に入るもので、
この、完全に逆光になるような、
北側から線路を見渡す景色が妙に気に入り、
兄を踏切沿いで降ろした後、田んぼの真ん中に舞い戻りました。
ゾロゾロと踏切近辺に撮影者が集まる中、
ポツンと一人田んぼの真ん中で待機。

Img4378

こんな景色の中で撮影するのは気持ちのよいものです。
(ちなみに、この写真の左奥に、小さく「ポッポの丘」が見えます。
という事は…、と次回に向けて悪巧みの算段を。)

さて、ここから撮影すると逆光になるのは承知の上ですが
(鳥坂センパイの「逆光は勝利!」の言葉に助けられます。笑)、
気になるのは頭上を漂う雲の塊です。
基本的にスカッと晴れていますが、
時々雲が太陽に掛かって見事な影になります。

どうにもイヤな予感がするので、
さてそろそろキハがくる、という直前に、
前もって晴れた状態の景色を撮影しておきました。

そして、踏切が鳴り始め、遠くからディーゼルエンジンの音が。
という時に、悪い予感の通り、頭上に雲の塊が…。
踏切付近で撮影していた兄の証言だと、
付近で撮影していた皆様から一斉に溜息が漏れたそうです。

北側から一人で狙っていた自分も同様でしたが、
一方で「後で何とかできるだろう」という自信もありました。
なにせ「こんな事もあろうかと」、先に晴れた時の写真も撮ってましたので、
後はPhotoshopでチョイチョイです。

今回の写真は、キハ2両だけを切り出し、明るさを調整の上、
数分前の景色に貼り付けた「加工写真」です。
今の時代、写真をPhotoshopで作り上げるのも趣味の一つ、
だと思ってます。

そんなわけで、今回のタイトルは「幻影」といたしました。

でも、出来る事なら、今度はRB67を持ち込んで、
一発必中でこんな写真をフィルムに焼き付けてみたいものです。

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2020年8月10日 (月)

いすみ鉄道、夏2020 ~(番外篇2)「ポッポの丘」へ「クモニ詣で」

いすみ鉄道撮影2日目は、
国鉄キハが動き始める前に、
リニューアルしたばかりの「ポッポの丘」へ寄り道。
つい先頃、東芝府中工場から「クハ103」と「クモニ83」
が納車(?)されたばかりです。

※まだ東芝府中工場にいた時の写真を、
9年前のエントリーで紹介しております。

府中近辺を車で通るときには、いつも首を伸ばして覗き込んで、
今日はクハとクモニはいないかなー、と探すのが恒例となっておりました。
それがまさか、千葉の知られざる名所「ポッポの丘」にやってくるとは、
思いも寄らぬ事でした。

※写真は全て、
Panasonic Lumix DMC-GX7
Lumix G Vario HD 14-140mm F4.0-5.8 ASPH. H-VSO14140

1060818

搬入されたばかりでまだ整備中の状態ですが、
いずれもよい状態で保存されていたようです。

にしても、来ているお客さん、皆さんクハ103ばかり撮影されていますが、
むしろ、隣のクモニ83の方が歴史的価値が高いはずです。
なにせ戦後に「ロクサン」型として製造された旧型国電の改造型。
現役時代は、113系や115系の先頭に立ち、
釣り掛けモーターの音を「ぎやぁ~~~~」とけたたましく響かせていた
「時代の生き証人」です。

1060802

他にクモニ83(あるいはクモユニ74でもいいんですが)の保存車はあるんでしょうか?
見た目は茶色い電車じゃないですが、
釣り掛けモーター搭載の貴重な電車です。
出来るなら、稼働状態に復元させて、
しなの鉄道の115系の先頭に立って走って欲しいなぁ、
と思ってしまいますが、なかなかそうはいかないでしょうね。

1060813

是非是非、「ポッポの丘」の皆さんに、
徹底的に綺麗に磨き上げて頂いて、
往年の美しさを取り戻して頂きたいものだと思います。
また次回、ここを訪れた時にその勇姿を拝見したいです。

1060803

クモニの他に、気になって仕方なかったマツダのオート三輪(笑)

「ポッポの丘」は、リニューアルに伴い、
駐車場の利用料1000円を徴収するシステムとなりました。
いつも、顔を出すものの、生ものの卵を買って帰るのは難しいし、
着いた頃には閉場10分前なので買い物できない、という事が続き、
なかなか金銭的な支援をできずにおりましたので、
むしろ駐車料金システムはありがたい事でした。
ついでに、クハ+クモニ納車記念のクリアファイルと、
キハ52型のティッシュ箱ケースを購入しました。、
少しでもクモニの修復に役立てば!

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2020年8月 9日 (日)

いすみ鉄道、夏2020 ~(番外篇1)ネオワイズ彗星は遠くなりにけり

せっかく都会を離れて千葉の山奥に行き、
しかも梅雨が明けて空は快晴、となれば、
7月中毎日夜空を見上げながら
「あぁ、今日も彗星は見えず」
と落胆していた借りを返すべく、
夜空にレンズを向けてみました。

月が明るい夜でしたが、
東京ではとても拝めないような満天の星空で、
これならば、と期待に胸が膨らみます。

しかし、天体アプリを頼りに、あの辺りに彗星がいるはず、
という方向を見上げてもそれらしい星を見つける事ができず。
おかしいなぁ、と思いつつも、
目で見えなくても写真には写る、という話しもありましたので、
何はともあれ何枚か撮って液晶でチェック。
どこかに写ってるはずなんだけどなぁ、とジロジロ見ていると…

Img4347_raw
PENTAX K-50
SMC PENTAX-M 35mm F2
10秒 F2.8 (ISO800)
2020年8月1日

あれ?あの緑色の、少しボヤーッとしたような星は…
(※下の方、真ん中よりちょっと左)

実は徳島でかろうじて彗星を撮影できた、
という兄にプレビューを見せると、「間違いない」。

別カットを拡大してみます。

Img4348_raw
PENTAX K-50
SMC PENTAX-M 35mm F2
6秒 F2.8 (ISO1600)
2020年8月1日

ホウキは、ほとんど見えません(泣)

彗星が見られるのは7月中でしょう、
って話しでしたが、実際こんなに小さくなっていたとは…。

かろうじて撮影できたものの、
もっと立派な彗星写真を撮りたかったなぁ、
とあの連日の雨模様だった7月を呪うばかりでした。

※その昔、「百武彗星」と「ヘール・ボップ彗星」
を撮影した時の写真を、過去のエントリーにアップしております。

またあんな立派な大彗星を撮影したいなぁ。

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2020年8月 8日 (土)

いすみ鉄道、夏2020 ~(4)新田野の田園にて・その2

我ながら変わり映えのない写真を載せまくってるなー、
と思いながら写真をアップしてますが、
この時期にいすみ鉄道を撮れる事は例年ないので、
これが最初で最後かも、くらいのつもりで、
ひたすら田園風景ばかり撮りまくっていた証しです。

大口径の望遠を生かそう、と思って撮った一枚。

Img4319_retouch
PENTAX K-50
Tokina SD 80-200mm F2.8 AT-X828 (135mm)
1/1600秒 F2.8 (ISO100)
いすみ鉄道 新田野-国吉間
2020年8月1日

実は、この車両に被るように撮り鉄さんがいたんですが、
Photoshopの力を借りて退場(笑)して頂きました。
先日も書きましたが、今はフィルムの時代じゃなくなりましたので、
使えるテクノロジーは駆使して画像を作ったり直したりするのも、
21世紀の写真趣味としてはアリな事だと思っています。
警察の証拠写真じゃありませんので…。
そうすれば、無駄なトラブルが発生する事もありませんし。
あ、でも声を掛け合って「そこで撮っていいですか?」
とコミュニケーションを取るのは大事だと思います。
その点、いすみ鉄道で撮っていると、
撮影者同士の関係はいつも良好だな、と感心します。

さて、2往復の急行を撮影し終わり、主な撮影は終了。
後は、宿にチェックインするまで、軽くロケハンを。
今春、見事な菜の花を撮影できたあの場所へ行き、
夕暮れの西陽がもう沈もうとしている刹那、
大原へ向かうキハ20を撮って、初日の撮影を終えました。
あ、でも次回はこの日の番外篇を…。

Img4334_retouch
PENTAX K-50
SMC PENTAX-F Zoom 28-80mm F3.5-4.5 (70mm)
1/160秒 F5.6 (ISO400)
いすみ鉄道 久我原-総元間
2020年8月1日

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2020年8月 7日 (金)

いすみ鉄道、夏2020 ~(3)新田野の田園にて・その1

Img4290
PENTAX K-50
SMC PENTAX-M 35mm F2
1/500秒 F5.6 (ISO100)
いすみ鉄道 新田野-国吉間
2020年8月1日

西大原でキハ52+28の往復を撮影した後は、
こちらもすっかり定番となった、
新田野駅と国吉駅間の直線区間に。
当然ながら、こちらも田園区間です。
今夏は稲穂ばかりです。どうぞご容赦ください。

Img4295
PENTAX K-50
SMC PENTAX-M 35mm F2
1/500秒 F5.6 (ISO100)
いすみ鉄道 新田野-国吉間
2020年8月1日

にしても、この美しいグラデーションの青空!
こんな空、もう何百年と見てなかった気がします(笑)
そんな冗談も言いたくなるくらい、
7月はまるっきり空を見られませんでした。

蛇足ながら、SMC PENTAX-Mの35mm F2、
数年前にヤフオクで見つけたジャンク品ですが、
そもそも業務目的で使われていたのか、
絞りリングはネジで固定され、
後群に補助レンズが追加され、
前玉は砂か何かの汚れや傷がたくさん、
というヒドイ状態でしたが、
丁寧にメンテナンスしたら、見た目は悪いものの、
開放からバッチリと写る鉄板単玉として重宝しています。
今回も、K-50のファインダー越しに、またLV越しに、
その実力をまざまざと見せつけられたのでした。

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2020年8月 6日 (木)

いすみ鉄道、夏2020 ~(2)西大原の田園にて・その2

Img4254_raw
PENTAX K-50
SMC PENTAX-F Zoom 28-80mm F3.5-4.5 (80mm)
1/800秒 F4.5 (ISO200)
いすみ鉄道 上総東-西大原間
2020年8月1日

前回に続いて、いすみ鉄道の西大原で撮影した国鉄キハ。
大原から上総中野へ向かう下り列車です。
上り列車より、更に稲穂を強調する撮り方で狙って見ました。
(あまりに黄色と緑の割合が強い構図だったせいか、
色温度がこけぎみだったので、珍しくLightroomでRAWから処理。
普段は、PENTAXのJPEGの画に全幅の信頼を置いてるんですが。)

Img4244_raw
PENTAX K-50
SMC PENTAX-F Zoom 28-80mm F3.5-4.5 (80mm)
1/800秒 F4.5 (ISO200)
いすみ鉄道 上総東-西大原間
2020年8月1日

普通、撮ろうとする構図に人が入ってくると
「来ないで!」って思うものでしょうが
(それが高じて「どけ!」と怒鳴るような撮り鉄にはなりたくないものです)、
それも日常風景、と思って取り入れてしまうのが粋ってもんです。
最近はむしろ、人とか動物とか船とか車とか、
Photoshopの力を借りて足したくなるくらいです。

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2020年8月 5日 (水)

いすみ鉄道、夏2020 ~(1)西大原の田園にて・その1

5年間乗った愛車のスズキ・セルボを兄に譲ることになり、
実家からはるばる兄が引き取りに来ました。
で、せっかく上京するなら「いつもの所」へ行きたい、との事なので、
感染対策をばっちり施した上で
(って、行き先が田んぼの真ん中じゃ、染りようがなさそうですが)、
今年3度目のいすみ鉄道撮りとなりました。

なにせ、いつも真冬に来てばかりのいすみ鉄道、
真夏の田園風景での撮影は初めてで、
新鮮な気持ちで撮影に臨みました。

Img4221
PENTAX K-50
SMC PENTAX-F Zoom 28-80mm F3.5-4.5 (80mm)
1/500秒 F5.6 (ISO200)
いすみ鉄道 上総東-西大原間
2020年8月1日

春に撮影に来た時には、
キハ52が検査入場中のため国鉄キハは運休でしたが、
今回は元気に「ガラガラ」とディーゼルエンジンを噴かせて走って来ました。

ご承知の通り、7月はずっと雨か曇りで、
お天道様を拝める日はほとんどありませんでした
(おかげで、ネオワイズ彗星は全く撮影できず…実に無念)。
それがまさか、兄が上京してきていざ撮影、
という8月1日からカラッ!と晴れる等とは夢にも思わない事でした。
何とも悪運の強い事で(笑)

Img4230
PENTAX K-50
SMC PENTAX-F Zoom 28-80mm F3.5-4.5 (80mm)
1/500秒 F5.6 (ISO200)
いすみ鉄道 上総東-西大原間
2020年8月1日

田んぼの様子は、まだ青々としているところもあれば、
うっすら黄色く色づいて稲穂が頭を垂れ始めているところもあり、
久しぶりに「田園風景」の撮影を楽しむ事ができました。

第2回以降も、基本的には変化の少ない田園写真となりますが、
その辺りはどうかご容赦のほどを…

Img4210
PENTAX K-50
Tokina SD 80-200mm F2.8 AT-X828 (200mm)
1/1600秒 F2.8 (ISO100)
いすみ鉄道 上総東-西大原間
2020年8月1日

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2020年6月13日 (土)

大海原と「踊り子」

Img4161
PENTAX K-50
SIGMA 28-300mm F3.5-6.3 DL HYPERZOOM (100mm)
1/640秒 F5.6 (ISO100)
東海道線 早川-根府川間
2020年5月24日

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2020年6月 4日 (木)

初夏の相模湾と玉川橋梁

200524_07
Mamiya-6 IVB
T-Takumar 7.5cm F3.5
1/250秒 F8.0
Kodak EKTAR100
東海道線 早川-根府川間
2020年5月24日

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2020年5月29日 (金)

ノベライズ「言の葉の庭」の、目に見えるような景色

180522_13
Canon P (Poupulaire)
LZOS Jupiter-12 35mm F2.8
Fotokemika efke KB25
2018年5月22日

「君の名は。」で新海誠の世界に一気に引きずり込まれてから、
過去の作品も一通り目を通してみた。
もちろん、一目見て全てに惚れ込んだ「君の名は。」も好きだし、
青春の甘酸っぱさや男の弱さをさらけ出す「秒速5センチメートル」も好きだけど、
今の所、新海誠作品で一番好きなのは「言の葉の庭」だと言っておきたい。
(本文改訂時点で既に「天気の子」も観たけど、
それでもやはり、「言の葉の庭」は新海誠作品で一番好きな映画だ。)

靴職人を目指す高校生タカオと、
同じ高校で古典の教師をしているものの、
心に傷を負い学校に行くことの出来ないユキノ。
雨降る日の公園の東屋でしか出会わない、
そんな二人の淡い恋の物語…

現実世界では許され無さそうな二人の関係も、
新海誠が描く、果たして現実なのか空想なのか、
分からなくなるような映像世界の中だと純粋で汚れ無いものに思え、
そしてなぜか自分自身の過去に戻ったような感覚さえ覚えるのが不思議でもある。
そんな経験はなかったはずだし、理想も持ち合わせてなかった…はず、なんだけど。

映画は僅か45分ほどの短編だけど、新海誠本人のノベライズ版は、
映画ではワンカットしか出てこないような端役のキャラも含めて詳細に語られていて、
タカオとユキノの世界で起きている出来事を事細かく描写している。
アニメを観てからノベライズを読むと世界が広がるし、
ノベライズを読んでからアニメを観ると、
アニメにはなっていない部分も脳内で勝手にアニメ化されて再生される。
「言の葉の庭」を少しでも好きになった人は、
ノベライズ版にも目を通しておく方が絶対にいい。

例えば、映画では一切触れられていない中学生時代のタカオの回想シーンも、
小説版では細かく描写されている。
特に印象的なのは序盤、年上の女友達だったミホと二人で明治神宮へ行く場面、
代々木のドコモビルが見える、と書かれている一文がある。

これを読んだ時、まさに頭の中には、この写真の光景が蘇ってきた。
あぁ、あの場所でタカオとミホは…と。
アニメの中で現実世界との境目を曖昧にする新海誠だけど、
まさか文字だけのノベライズでも、
まるで目の前に本当の景色が見えているか、あるいはアニメを観ているのか、
と勘違いを起こしそうな程、はっきりとした情景を描く事に成功している。

都会の喧噪を離れ、木々に囲まれ鳥のさえずりの中で時が止まったような明治神宮…の彼方に、
実に異質にそびえ立つドコモの電波塔。
ここは、参道から本殿に辿り着き、その抜けた先という立地。
現実を忘れて全てが浄化されたような気持ちでこの場所に辿り着いた時、
ふいにあのビルが姿を現すと、
強制的に現実世界に引き戻されてしまうような戸惑いを覚える。

現実と非現実が混ざり合わずに存在しているこの場所は、
リアルとアニメの境目を飛び越えていくような錯覚を覚える新海誠作品の、
特徴そのものが具現化された場所であるように思えなくも無い。

そして、現実の東京の(しかも新宿近辺の)景色をうまく作品に盛り込む新海誠の、
映画にはなってない、だけど非常に印象に残るそんな一コマ。
頭の中ではかなり明確に描写されたワンシーンを、
レンズ越しに写真にしたくなり、この場所までやってきたのでした。

※2年前、facebookに投稿していた記事を加筆修正し、転載しました。

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2020年5月27日 (水)

「氷の世界」と「秒速5センチメートル」

180522_11
Canon P (Poupulaire)
LZOS Jupiter-12 35mm F2.8
Fotokemika efke KB25
小田急 参宮橋-代々木八幡間
2018年5月22日

新海誠の初期の名作「秒速5センチメートル」の物語は、
小田急参宮橋駅近くの踏切で始まり、17年後の同じ踏切で終わる。

「秒速」の世界では、この踏切の元に立派な桜の木があって、
「花びらの落ちる速度は秒速5センチメートル」と、
まだ小学生だったアカリがタカキに教える。
17年後、タカキは同じ踏切でアカリ(と思われる女性)とすれ違い、振り返る。
だけど、通り過ぎた電車の向こうに、人影はない。

アニメを観て、そしてノベライズも読み通した後、
ひょっとして「秒速5センチメートル」という表題には、
「サクラ、チル」の意味にも掛けられていたんだろうか、と想像された。
だとしたら、物語の始まりから結末は暗示されていたのかもしれない。

ところで、踏切と通り過ぎる電車、そして恋人、というシチュエーションから、
自然と、井上陽水のアルバム「氷の世界」の事が思い出された。

1曲目「あかずの踏切」では恋人に会いたいのに踏切があかず、
じらされ、早く早くと前のめりな気持ちが溢れ出ているようなのに、
6曲目の「白い一日」(作詞は小椋桂)では対照的に、
遮断機があがって振り向いた君はもうオトナの顔をしている、
と悲しげで悲壮感を漂わせて歌う。
まるで、第1話(中1)のタカキと、第3話(オトナ)のタカキを見比べるかのようだ。

そして、3曲目の「帰れない二人」(忌野清志郎との合作)では、
街は眠りにつき、星も帰ろうとしているのに、
手と手のぬくもりで互いの気持ちを感じる二人が歌われている。
これも、雪で帰れなくなったタカキとアカリが、
雪明かりに浮かぶサクラの木の下で口づけを交わし、
互いのぬくもりで一晩を共にするシーンが不思議とオーバーラップする。

作られた時代もストーリー性も全く異なる「秒速」と「氷の世界」。
きっと、新海監督は「氷の世界」から微塵もインスピレーションを受けてないだろう、
と想像されるけど、おかしなもので、
「氷の世界」の歌詞カードを読みながら「秒速」の事を考えると、
いろいろな場面が脳内で勝手にシンクロし、思いがけず世界が広がっていくのが面白い。

アニメを観てノベライズを読んだら、
居ても立っても居られなくなり、カメラを持ってあの踏切に行ってみた。
とても新海誠の色彩感を再現する事は出来ないだろうからと思い、
白黒フィルムをカメラに詰めた。失われた色彩は脳内で蘇らせる事にして。

目の前の電車が通り過ぎた時、
遮断機の向こうにあの人が立っているんじゃなかろうか…、
そんなセンチメンタルな感情を抱くことを少なからず期待していたけれど、
いざ現場に立ってみるとそんな事を考える隙もなく、
ただ「ちゃんと頭がフレームに入るように」と、
レリーズを切る瞬間の指先にしか神経を集中する事が出来なかった。

得てして、写真を撮るとはそういう事だったりする。

※2年前、facebookに投稿していた記事を加筆修正し、転載しました。

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2020年5月17日 (日)

【懐かし写真】久大本線の12系

990322_03
PENTAX Z-1
Konica JX400
久大本線
1999年3月22日
※デュープ機材
FUJIFILM X-T10
Canon New FD50mm F3.5 Macro

大学3年生から4年生への変わり目の春休み、
所用で九州へ旅行に行ったついでに、
引退が近かった12系普通列車を撮影に久大本線に行きました。

どこで撮ったのか、アルバムにはメモがあったかもしれませんが、
ネガには何も記録が入っておらず、
Googleマップで探してみましたが、果たしてどこで撮ったのやら…。
そう内陸部までは行ってない気がするんですが。

国鉄からJRに移行した際は、
まだ各地に12系や50系の客車列車が残っていました。
近場だと高徳線の早朝・深夜の50系の各停がありましたし、
播但線に乗って親戚の家に行くとき、
12系の各停に乗った事もあります。

20世紀末になり、この不効率な列車は淘汰されていき、
Wikipediaによると、この久大本線が「通常運用では最後の客レ」だったようです。

最前部の機関車が、動力のない客車を引っ張っていく。
電車にはない魅力やロマンがあるように感じるのは、
果たして何故なんでしょうか。

せっかくの久大本線なので、「ゆふいんの森」も撮影。
当時から、九州の列車はオシャレに出来ています。
JR東○本とはえらい違い(笑)

990322_19
PENTAX Z-1
Konica JX400
久大本線
1999年3月22日
※デュープ機材
FUJIFILM X-T10
Canon New FD50mm F3.5 Macro

四国では2000系増備により早々に活躍の場が無くなった185系も、
ステキな外装に身なりを変えて、九州の地で頑張ってました。

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PENTAX Z-1
Konica JX400
久大本線
1999年3月22日
※デュープ機材
FUJIFILM X-T10
Canon New FD50mm F3.5 Macro

ここ最近、フィルムの取り込みはスキャナーで行ってましたが、
久しぶりにデジタルでのデュープを行ったら、
やはりこっちの方がいい仕上がりになりそうだ、
と思ったので、これからはデュープで写真をデジタライズしていく事にします。
以前はニコンD7000が常用機でしたが、
これからはフジX-T10を使用していきます。
(レンズは引き続き「神マクロ」だと思っているFDレンズで)

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2020年5月16日 (土)

【懐かし写真】多摩川を渡る103系

020902_01_20200516142701
Canon EOS5
EF35-70mm F3.5-4.5
Konica Centuria400
中央線 立川-日野間
2002年9月2日
※デュープ機材
FUJIFILM X-T10
Canon New FD50mm F3.5 Macro

就職のために上京したのは2002年4月。
最初に入社した会社は少々特殊な分野?だった事もあり、
なかなか慣れず、帰れるのが午前様な事も珍しくありませんでした。
なので、電車の写真を撮りに行こう、
という余裕がほとんど無い日々を過ごしておりました。

この日は珍しく中央線まで足を伸ばしています。
なんで中央線だったのかはよく覚えていませんが、
同じネガに165系(169系?)が写っているので、
何か団臨でも走る、という情報を知って撮りに行ったのかもしれません。

今回紹介するのは、それとは全く違うものです。
多摩川を渡るオレンジ色の電車。
でもよく見ると、顔が黒くありませんし、
屋根上のベンチレータも四角くありません。
そう、これは103系。
「あれ、中央線の103系は早くに引退したはずでは?」

当時、まだ武蔵野線にはオレンジの103系が走っていました。
そして、まだ所属も豊田電車区だった頃です。
つまり、これは豊田電車区へ帰投する回送列車。

ネガの一コマ目でしたので、
多分、急いで撮ったんでしょう、
実際はもっと斜めに傾いてましたし、
大して雲も出てないのに盛大に空を入れる縦長の構図なので、
8両編成の7両までしか写っていません。
(そもそも「何でも縦長に撮る病」の持ち主である事は、
先日も書いたところではありますが)

せっかくなら103系とよく分かるように、と思い、
横長にトリミングしてみました。
21世紀に入ってから撮った写真ですが、
どことなく「懐かしの昭和」っぽい感じがします。

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2020年5月11日 (月)

【懐かし写真】常磐線を迂回する「北斗星」

Dscn0350
Nikon COOLPIX880
1/500秒 F4.2 (ISO400)
JR常磐線 馬橋駅
2003年7月22日

前回、馬橋駅で撮影したE501系の写真をアップしましたが、
その2年程前、同じ馬橋駅で珍しい写真を撮影していた事を思い出しました。
とっくにブログに載せていたように思いましたが、
検索しても出てこないので、初出となります。

この日も、主に103系を撮ろうと思って常磐線で撮影しておりました。
撮影したニコンのコンデジ「COOLPIX880」は、
この数日前にアキバで購入したばかりの中古品でした。
デジカメとしては2代目のカメラでした
(初めて買ったのはオリンパスの「C-1 Zoom」でしたが、
大して写真を撮らないうちに壊れてしまいました。)

この頃は西新井に住んでいたので、
常磐線はよく撮影に行ったものです。
103系が風前の灯火だったので、
もっとも身近な「撮っておきたい」被写体でした。

ここからは記憶が曖昧なのですが、
この撮影をしている時に、
この線路を「北斗星」が走ってくる事に気づいていたのか、
あるいは走って来たのを見て「えっ!?」と思って慌てて撮影したのか…。
気づいていたとすると、構内放送等で「東北線が不通」の一報を知り、
ならばひょっとして常磐線を迂回してくるのか、
と思って待ち構えていたかもしれません。

いずれにしても、そう度々あるような機会でもなく、
しかも、まだ買ったばかりで不慣れなカメラで、
気合い一発絶対に外すまい!と全身全霊でシャッターを切った覚えあります。
おかげで、割と絶妙なタイミングと構図で撮影する事ができました。
(しかも、電源車はマニ50から改造されたマニ24-500番代!
これもなかなか貴重な存在。)

「C-1 Zoom」をあまり使わなかった理由は、
コンデジは鉄道撮影に使えるものじゃないな、
という感覚を抱いていた事にあります。
一報、「COOLPIX880」は、不満なところはあったものの、
マニュアルで撮影できる項目が多かったり、
非圧縮(tiff)で撮影できたり、撮影データを後から取得できるなど、
割と痒いところまで手が届くカメラでしたので、
「これから充分使えるな」と思わせられるだけのものでした。
この頃は、まだメインカメラはEOS5(5Dではない)でしたが、
そろそろデジタルへ移行してもいいかも、
と思わせる最初の一歩となったカメラである事は確かです。

※「北斗星」の記憶ばかりが脳裏にありましたが、
同じ日の写真を見ると、EF65-500やオール鋼鉄の415系(403系?)など、
垂涎の懐かしい写真もありました。

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