ケータイデジカメ、高画素は美しくない?
ケータイにカメラが載るようになって、
もう5年くらいになるでしょうか。
最初は、J-PHONE(当時)が「写メール」の名前でサービス開始。
EZ(当時はまだIDO+セルラーの時代?)はすぐに続きましたが、
DoCoMoはSH251iで遅ればせながら参戦。
しかし、その直後、505iシリーズで「全機種メガピクセル」
という大技を繰り出し、一気に遅れを取り戻しました。
僕も当時、SO505iを購入しましたが、
「もはやデジカメと変わらなくなった」と驚いた覚えがあります。
しかし、その後は、200万画素くらいで高画素化は落ち着き、
いくつか300万画素とか、500万画素という機種もありますが、
おおむね200万画素で定着した印象があります。
お隣韓国では1000万画素とか言ってるのとは、随分な違いです。
でも、これはこれでいいと思います。
だって、ケータイに500万画素以上あっても、
ユーザが使いこなせるとは思えません。
ケータイのカメラの使い道って、そのほとんどは、
友達にお気に入りの写真をメールで送るとか、
子供の写真を待ち受けにするなど、「低解像度」で十分、
という役割がほとんどのはずです。
あまり語れる事はありませんが、例えば、近頃のケータイの液晶は
ほとんどがQVGAサイズ。これだと、解像度は
「240×320=76.800」、なんと10万画素にも及びません。
少しずつ増えてきたVGA解像度にしても、
「640×480=307.200」でやっと30万画素。
日常利用では、メガピクセルどころか、
50万画素もあれば御の字、という事になってしまいます。
※もちろん、等倍の解像度で撮影するより、
大きい解像度で撮影してから小さく縮小する方が、
ディザリングが効くので綺麗に見えるようになる、というのはありますが。
とはいえ、後でプリントしたり現像したりする、という用途があれば、
当然画素数は多い方が有利です。
それでも、いくら高解像度になっても、
ケータイ用のカメラに載っているレンズには限界がありますし、
そもそもキャップもついてないのでゴミや指紋がいっぱいなので、
ホンモノのデジカメの画質を得る事は、ほとんど不可能かもしれません。
※そういう意味で、今度auから発売される「EXILIMケータイ」は、
どこまでEXILIMと呼べる画質を確保しているのか、とても興味津々です。
さて、今回はケータイの画質についての考察です。
何はともあれ、以下の2枚の写真をご覧ください。
これは、先日、臨時特急「あやめ」を撮影しに行った時、
手持ちの2台のケータイで撮影した画像です。
上はDoCoMoの「SO902i」、下はauの「W41CA」です。
それぞれ、最高の画質モードで撮影してあります。
上の写真は、本来は、SOは「2048×1536」(QXGA)、
CAは「1600×1200」(UXGA)の解像度で撮影したものを
「800×600」(SVGA)に縮小しています。
パッと見、どちらが綺麗に見えますか?
SOの方が、緑も空も鮮やかで、晴れた日の田園、って感じがしますね。
では、それぞれ、写真の一部分を拡大したものをご覧ください。
※参考に、*istDs+「SMC-A 35-105mm」で撮ったものも。
橋の部分を、一反「400×300」のサイズで画像を切り抜いた上で、
解像度を倍にして「800×600」にしたものです。
なので、ピクセルあたりだと4倍に拡大される、という事になります。
やはり、上がSOで、真ん中がCAです。
(参考のDsは、RAWで撮影したものを、「RawShooter」で現像)
どうでしょう、CAで撮った方が、木々がはっきり写っていて、
SOの方がグジャッとなっています。
もはや、ベタで塗りました、と言ってもいい位です。
こうなると、「高画素=高解像度」、とは言えない気がします。
この「グシャ」加減は、カメラの性能云々以前に、
JPEGに圧縮する時に発生する問題だ、と思います。
いくらCCDないしCMOSが高解像度でも、ファイルサイズを抑えるために(憶測)
JPEGの圧縮率を高めてしまうと、こういう事になってしまいます。
(ちなみに、作例だと、SOは985KB、CAは698KBです。)
上の作例だと、CAで撮った方もナニな気がしますが、
これは相当キビシイ条件での写真になると思います。
実際、この日は結構風がありましたから、手前の田んぼは「ユサユサ」と葉っぱが揺れてました。
カメラのJPEGエンジンも、「おいおい、こんな写真撮るなよ、圧縮するの大変なんだから」
と悲鳴をあげそうな状況です。
日頃は、デジカメで撮ったのと大差ないような、かなりシャープで綺麗な色の写真が撮れます。
なので、SOの300万画素は、完全に「宝の持ち腐れ」状態です。残念ながら。
さっき、ファイルサイズが、と書きましたが、
これも、ケータイデジカメの「限界」の1つの要因だと思います。
普通のデジカメだと、バッファメモリを大量に積んでいるので、
実際にはメモリカードへの書き込みが済んでなくても、
次の動作にすぐに写る事ができます。
これが、昔のデジカメだと、相当大変だったんですけどね。
詳しくはいずれ書きますが、手持ちのNikon Coolpix880だと、
tif画像1枚保存するのに30秒くらいかかる・・・@@@
ケータイだと、そもそもデジカメのためにメモりを載せる事は限度があるでしょう。
でも、ユーザの立場だと、さくさくと保存し、どんどん撮れないといけない。
実は、SOでもかなり書き込みは遅く、写してから、次の体勢に入るのに10秒くらいかかります。
カメラやIT機器に疎い人には、こういう挙動で時間を取られるのは、かなりキビシイと言えます。
するとどうしてもJPEGの圧縮率を高くしてファイルサイズを少しでも小さくし、
保存や再生の挙動を早く見せる・・・、という方向に行くのではないでしょうか。
画質とサクサクのバランスをとる、というのは大変そうですね。
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コメント
>近頃、富士のデジカメは評判が悪いですもんね。
>確かに、F31fd以降のものは、
>サイトにあるサンプルを見ても「こりゃねぇだろぉ」
>って画質になっていて、がなりガックリきます。
ちっとば日が経ったとこにレスするが、実際にF30を2台駆け込み購入してしまった身から。
もうね、何というかね、まああれですわ、
「富士もとうとう他社に迎合してしまったのか・・・orz」
メーカーとして、マーケティングの結果「売れる要素のある商品」を造らねばならないのは宿命。
それは必ずしも「よい機械」とは限らないのも、また現実。
F50Fdは、この哀しい現実を浮き彫りにしつつあり。価格といわず某chといわず、悲嘆と失望に溢れかえっていた・・・。
F30は本当に頼れるカメラだった。手にして初めて知った、そのタフな高感度特性。
かと思えば遠景の描写も、近景のディティールや質感も素晴らしくいい。
これで良かったのに・・・結局消費者が求めるのは「頭で理解するスペック」なんだろうかねぇ・・・(´・ω・`)
投稿: gochi-zoh | 2007年8月23日 (木) 04時34分
ちなみに和泉多摩川に住んでるので喜多見とかの画像が嬉しかったです(笑)
ITmediaの記事読みました>W53CA
なかなか良さそうですね。
画像サイズを1/4にして画質を上げるモードは他のケータイデジカメにも搭載して欲しいですね。
GR Digitalはモノはいいんですがいかんせん故障率が高いです。
ほとんどの人が修理対応の御世話になるんじゃないかってくらいです。
このサイズにマニュアルモードが使えて、28mmのレンズで開放f=2.4を詰め込んでいるので、仕方がないかなぁとは思いますが持込み修理センターが平日しかやってないなどもうちょっとなんとかして欲しいところもあります。
投稿: Kow | 2007年8月14日 (火) 22時59分
@Kow様
レス遅くなり、失礼しました。
> 私は実はW53CAの画質には疑問を持っているのでインプレッションお願いします(笑)
数枚撮りましたが、まずは合格点だと思います。
いずれ、ちゃんとレポート書きますが、
おおむね、「ITmedia Mobile」の記事に書いてある事と、
同じような印象です。
ケータイと思えば非常に優秀だけど、
EXILIMと思うと不満もあるかも?ってとこでしょうか。
まずは、おおざっぱな感想、という事で。
> 10年くらい前まで(今は無き)高島町駅の近くに住んでおり、現在は小田急沿線に住んでいるのでそれらの画像があると楽しいです。
じゃあ、意外と、線内でお顔あわしてるかもですね^^
下北近辺は、僕も、記録しとかなきゃな、と思ってます。
GR DIGITAL、いいカメラみたいですね。
シンプルを謳い文句にしているカメラが、
必ずしも名機と言えるわけでもないと思いますが、
こと、GRに関しては、悪い話しを聞かないような気がします。
投稿: ごっさん | 2007年8月14日 (火) 22時28分
お返事ありがとうございます。
最近のデジカメはRGBで1画素と呼んでるのですか・・・知りませんでした。
私は実はW53CAの画質には疑問を持っているのでインプレッションお願いします(笑)
前のコメントとかぶってしまいますが、ケータイデジカメこそ画素数を減らし高感度に強くして欲しいですね。
おそらくほとんどのケータイデジカメが絞り優先AEで、その絞りは固定で感度も固定(笑)なので暗いところではどんどんシャッタースピードが遅くなってしまいます。
そして普通の人は遅いシャッタースピードではシャッターを切るほんのちょっとの動きでもブレるのをわかっていませんので「動かしてないのにブレる」と言われてしまいます。
なので画素数を増やすことに躍起にならずに速いシャッターが切れる方向に行ってくれるとケータイユーザーとしては幸せになれると思っています。
その点でW31SAは隠れた名機です。
室内撮影ではそのへんのコンデジには勝っていました。
blogネタとあまり関係ないことを延々と書いてしまいましたがよく小田急線や東急東横線が出てきますよね?
10年くらい前まで(今は無き)高島町駅の近くに住んでおり、現在は小田急沿線に住んでいるのでそれらの画像があると楽しいです。
VSTを誇りに思うというのは実は私もうすうす感じていました(笑)
小田急利用者としてちょっと自慢したいネタですね。
もともとロマンスカー自体が趣味のデザインしていますよね。
ロマンスカーのデザインとしては伝統を受け継いだということでしょうか。
駅といえば下北沢駅が地下化します。
このあいだGR Digitalで駅が無くなる前に撮影してきました。
近々ネットで公開する予定です。
投稿: Kow | 2007年8月13日 (月) 10時49分
@Kow様
コメントありがとうございます。
ものすごくおおざっぱに書いたので、
内容が必ずしも正確でなく、申し訳ありませんでした。
まぁでも、デジカメでもモニタでも、
RGBをワンセットで1画素と呼んでいるように思うので
(約200万画素を謳っているデジカメなら、
解像度は1600*1200ですし)、
その方が分かりやすいかな、と思いまして。
解像度を無理に増やしたために、
近頃、富士のデジカメは評判が悪いですもんね。
確かに、F31fd以降のものは、
サイトにあるサンプルを見ても「こりゃねぇだろぉ」
って画質になっていて、がなりガックリきます。
…と言っているのに、ごっさんは明日、
「EXILIMケータイ」W53CAに機種変します(笑)
半分はブログネタのようなものです。
EXILIMを名乗る500万画素の実力、
とくと拝見…、って事で。週内にはエントリ立てる予定です。
投稿: ごっさん | 2007年8月12日 (日) 23時53分
どうも、はじめまして。
検索していてたどり着きました。
デジカメの画素数なのですがFoveonX3を除いてはR,G,Bが必要なので320×240に必要な画素数は
320 × 240 × 3 = 230400
になると思います。
640×480でも同様に、
640 × 480 × 3 = 921600
だと思われます。
「高画素≠高画質」というのは私も同意見です。
コンパクトデジカメはそれほど明るくない場所での撮影をもっと重視して、画素数を落として高感度時のノイズを減らす方向に持っていって欲しいと思っています。
投稿: Kow | 2007年8月12日 (日) 15時57分