素人政治に辟易とする
揮発油税の暫定分が、
無くなっただの復活しただのと、
マスコミを賑わす2008年春。
「国民全てが待ち望む暫定税率廃止」などと、
民主党は気勢をあげているが、
それは間違いなく虚構である。
この問題に目を向けるには、
少なくとも2つの視点が必要となる。
すなわち、
「都会」と「地方」の相違、更に
「地方」の中での立場の違いである。
「都会」と「地方」の相違。
これは、都会にいて感じる事である。
すなわち、どうにも実感が湧かないのである。
都会は、電車網が発達しているので、そもそも車の必要性が薄い。
車が無くても、ほぼ生きていけるし、
よしんば持っていても、使用頻度が低い。
僕自身、3月に給油して以来、
まだタンクは半分以上ガソリンが残っている。
給油するのは2,3ヶ月に1度、
税率が下がろうが上がろうが、あまり家計に響かない。
一方で、道路網は充分に発達しており、
今更新しい道路を作る必要性も低い。
今から工事をするとすれば、
「開かずの踏切」を解消するために、
電車と道路を立体交差する工事をしましょう、とか、
オリンピックの時に作った高速道路の耐震補強をしましょうとか、
その程度ではなかろうか。
すなわち、都会にいると、ガソリン価格の変動に影響もされないし、
暫定税が無くなる事による弊害もない。
テレビや新聞で大騒ぎしているのが、
我が事として実感しろ、というのが難しいのが実情である。
民主党は都会寄りの政党である。
蚊帳の外の政党だからこそ、
こういう大事を、政局の材料程度にしか見ることができないのである。
政治が、都会人の論理だけで左右され、
地方がもてあそばれている現状が浮き彫りになっているのではなかろうか。
さて一方、地方にだけ目を向けても、やはり、「廃止賛成」の一枚岩ではないはずである。
車に日常乗っている人なら、まぁ、まず間違いなく、
暫定税率廃止は賛成の立場だろう。
家計が助かるのに、反対する道理はない。
しかし、道が不便で困ってる人にとっては、
暫定税率廃止の影響で道が作られなくなれば大変なので、
反対の立場に立つことになるであろう。
事実、そういう声も、多少は、マスコミから聞こえてきた。
整理してみれば、暫定税率廃止(既に復活したが)に賛成の立場を取るのは、
・日常、車を使わないと不便極まりない
・自身の動く範囲内の道路網は充分に整備されている
という方々に限られるはずだ。
ごく一部、とは言い過ぎだろうが、
必ずしも「国民総意」とまで言い切れるほど、
「暫定税率不要」な意見の方ばかりでは無いように思われる。
民主党が騒ぎ立て、
マスコミはネタになるからと煽りたてているが、
実は、いまいち興味が湧かないとか、
案外困ってないとか、そういう人も、少なからずいるはずである。
しかも、マスコミの伝え方は、いまいち、当を得ていない。
すなわち、「ガソリンが安くなります」「高くなります」。これだけが主題になっている。
安くなります、と言われれば、そりゃ、安い方がよろしかろう、となるし、
高くなります、と言われれば、反射的に、また値上がりですかいな、と思ってしまう。
どうにも、そういう目先の尺度でしか伝えていないように思えるのである。
マスコミの、物事を一面からだけ、
しかも、恐ろしく偏って集中的に報じ続けるという、
いつもの悪い癖が、相変わらず治ってない事に腹立たしさを覚える。
山口補選や、後期高齢者医療制度についても一言述べたいのだが、
それはまた、次の機会に。
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