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2008年12月 6日 (土)

「復活ヤシカ」の謎を探る

exemodeが「ヤシカ」ブランドのカメラ販売を開始し、
その中のフィルムカメラ「MF-2 Super」のレトロさにクラクラしている事は、
昨日のエントリーに既に書いた事ですが。

で、事の経緯について調べてみると、
いろいろと疑問が沸いてきたので、
推理を交え、ちょっと検証してみました。

■前提条件
・1983年、ヤシカ社が京セラに買収された後も、
国内では「Kyocera」「CONTAX」ブランドでカメラを展開する一方、
「ヤシカ」ブランドのカメラは海外で人気が高く、
引き続き、昔のブランド名でカメラを輸出(後、海外で生産に移行?)していた。
(1986年に発売された「MF-2 Super」も、恐らくその中の1つ。)

・2005年、京セラがカメラ事業を縮小。
その後、2007年には、ヤシカの商標を中国の「JNC Datum Tech international」社
(以下、「JNC社」と略す)に売却し、カメラ事業を終息。

・2008年、exemode社(KFC JAPAN社の完全子会社)から、
「ヤシカ」ブランドのコンデジ、フィルムコンパクトカメラが発売される

-----

ネットニュースから得られる情報だと、こんなところである。

しかし、細かい所をもう少し調べてみると、
ここで書いた事だけだと物足りないというか、
ちょっと誤解を生む可能性があるようである。
いくつか「推測」が混じるのだが、検証してみた。

■京セラ→JNC社に譲渡されたのは「商標」だけか?

Wikipediaや、ググると検索される各種のニュース、ブログなどを見ると、
どれを取っても「売却されたのは商標」、という記述ばかりと思われる。

しかし、KFC社のプレスリリース(PDF)に目を通すと、
「ヤシカのブランド・ビジネス」、とある。

「ビジネス」って事は、「ヤシカとしての仕事」って事だろうと思う。

果たして、屋号・ブランド名だけが売却の対象だったんだろうか?

そもそも、この売却は、あまり公には公表されておらず、
京セラのプレスリリースにも載っていない。
つまり、伝わっている内容自体が、割と「グレー」で曖昧なのである。

また、さっき挙げたプレスリリースには、京セラが1994年に、
中国に工場を設立し、カメラの製造を始めた、と「わざわざ」書いてある。

ここで、1つの「仮説」を立てる。

2007年、京セラから売却されたのは、「ヤシカ」の名前だけでなく、
ヤシカの製品の工場、ないしその設備、ないし知的財産も含んでいた、
と考える事は出来ないだろうか?

「商標」を得たJNC社は、確かに、自社のDVDプレイヤーなど、
ヤシカと全く関連のない商品にも「ヤシカ」名を付けているが、
今回発売されるMF-2は、そもそも京セラ時代の製品で、
これがラインナップされている時点で、ただ名前を買っただけではない、
と推測する事ができる。

■exemodeはJNCの「商標」を「使っているだけ」か?

エグゼモードが発売した各種「ヤシカ」ブランドのカメラについて、
各記事を見ると「JNCのブランドを使って」、との表現があり、
あたかも、自社の製品に「ヤシカ」のロゴを印刷して販売している、
という風に受け止められる。

しかし、そもそもJNC社が「ヤシカ」ブランドでカメラを販売している事は、
サイトを見れば明らかだし、
これらが、エグゼモードのラインナップと似通っている事は、
サイトを見れば明らかである。

すると、エグゼモードは、単に「JNC社のカメラを輸入・販売しているだけ」
とも受け取る事ができる。

少なくとも、現時点では。

しかし、エグゼモードの社長は、「ヤシカ」ブランドにかける強い決意を、
インタビューの中で述べている
事から、
これは「最初の一歩」であり、今後は新しい展開があると期待できるのも確かである。

■MF-2は「復刻」なのか?

最初の仮説の延長になるが、
今回発売が告知された「MF-2 Super」。
これは、果たして「復刻」されたものなのだろうか?

仮説では、京セラからJNC社にブランドとビジネスが移った時点で、
そもそものヤシカ製品も委譲されたのでは?、と推察した。

また、現状、エグゼモードが販売する「ヤシカ」ブランドのカメラが、
JNC社の製品を輸入しているだけ(現状では)、との推測も書いた。

ヤシカのカメラは、東南アジアでも人気だったと聞く。
これらの地域に、安価でそれなりによく写る、簡単に使えて壊れにくいカメラを販売していた、
と考えると、そこにMF-2がラインナップされ続けていた、と推測するのも、
あながち荒唐無稽ではない気がする。

すると、MF-2については、実は復刻ではなく、
「京セラ時代も作り続けられ、」「JNCに委譲しても作り続けられ、
「それを、エグゼモードが輸入販売する事になった」
と考えても、さして不思議ではないような気がする。

つまり、MF-2 Superは、まさに、
我々が慣れ親しんでいた「ヤシカ」そのものである、
と考える事が出来るのである!

※推測3段重ねなので、論文としては「砂上」である事は、
重々承知の上での結論です。
少なくとも、論文発表ではこてんぱにやられるような内容・・・

■MF-2は「露出固定」か?

さてその、MF-2の機能面での「謎」。

このカメラの仕様によると、シャッターは「1/125秒固定」、とある。

でも、cdsの露出計(古いな~)は搭載されている、との事。

これは、絞りで露出を制御するって事かな、と思ったのだが、
ネット上では、
「絞りは固定。露出計は、要フラッシュ警告を出すためのもの」
という書き込みを発見。

でも、「絞りが機能する」、との書き込みも・・・

うーん、不思議・・・

ちなみに、レンズは1.5mから先は∞、という固定焦点、
いわゆる「パンフォーカス」。
もし、絞りが動作してくれるのであれば、
フィルムは高感度(ったって、ISO100~400しか対応してないけど!)を入れて、
なるべく絞りが絞られるようにしてやる方が、
少しでもクリアでピンがあった(ような)写真になるはずである。

■今後の「ヤシカ」ブランドの行方は?

現状は、JNC社が製造販売する「ヤシカ」ブランドのカメラを、
そのまま、あるいは、少し手直しして、
エグゼモードが国内向けに販売している。

今後、より協業を深めていけば、当然、
「更なる一手」に踏み込む可能性は、ある。

すると当然の流れとして、我々は「一眼レフ」を期待してしまう。

フィルムの一眼レフなら、長野の会社(笑)に頼めば、
あれよあれよと、Y/Cマウントのカメラを作ってくれるであろう。

しかしここはやはり、Y/Cマウントのデジイチに手を出して欲しいな、と思う。

きょうび、600万画素クラスで手ブレ補正なし、なんて「枯れた技術の」カメラなら、
そう高い値段を出さなくても製造できる気がする。

意外と、分かる人間なら、それでも充分にいいのが撮れる、
という事は知っているわけだ。

これは、売れるんじゃないかと思いますよ~。

って事で、exemodeさん、期待しとります!

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コメント

SetouchiWalker様

はじめまして。コメントありがとうございます。

僕自身は、ヤシカはリアルタイムでは知らないのですが
(京セラに買収された時は、まだ6歳・・・)、
90年代末も、まだ「ヤシカ」名で一眼レフを出していて、
おそらく、輸出用を国内にも売っていたからと思いますが、
当時、なんせCONTAXのカメラは高く、
「ボディはヤシカで安く済ませて、レンズはツァイスで」
などと皮算用していたので、親近感?はあります。

CONTAXだと、一番安いボディでも10万円程度、
一方、ヤシカだと5万円しなかったような。

そうこうしているうちに、京セラCONTAXは姿を消し、
一方、ヤシカが再びまみえる事になるとは、
なんか不思議な気がします。

投稿: ごっさん | 2008年12月 7日 (日) 22時16分

はじめまして。おへんろさんのSetouchiWalkerです。
徳島の昔の写真をごっさんのブログで見つけてからいつも楽しく拝見しています。
YASHICA、なつかしいですね。私が小学6年生のころ、
ヤシカのカメラのパンフレットを近所のカメラ屋さんでもらってきて
誕生日に買ってくれと父にせがんだのを思い出しました。
そのころ私は父のおさがりのペトリハーフを使っていましたので
新しいカメラにあこがれていました。

投稿: SetouchiWalker | 2008年12月 6日 (土) 18時36分

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