Carl Zeiss Jena, Tessar 15cm F4.5
先々週購入したSIGMA 21-35mmのキャップを求めて、
先週、フジヤカメラに行ってきた時の事です。
当然?、ジャンクのカメラやレンズを見ていたのですが、
最近のフジヤジャンク館の傾向として、
大判用のレンズがゴロゴロと並んでいます。
特に先週はひどくて?、
いつもだと、コンパクトカメラや中判カメラのフィルムバックなど、
ゴソッと無造作に放り込んである、中央の「島」の中に、
大判用のレンズなどが無造作に入れてありました。
一緒に見ていた隣の知らないオジサンに
「こんないいレンズ、こんな所に放り込んで、勿体ないね!」
と声を掛けられたほどです。
それほど、軽くコーフンするような状態でした。
でも、大判用のレンズがあってもねぇ・・・、
と思いつつも、もし、00番シャッターが付いてそうなジャンクがあれば、
RICOHFLEXのシャッターを交換できるかしら・・・、
などと思いながらゴソゴソしていると・・・、
ん?なんじゃこれ?
変な「フライパン」のような形のクラシカルなレンズ。
名前を見ると・・・
Carl Zeiss Jena Tessar 1:4.5 f=15cm
無く子も黙るカール・ツァイス!しかもテッサー!!
これが、なんと\3.000-~!
で、ついつい買ってしまったわけです
ついつい・・・、ではありましたが、
これ、ひょっとすると、デジイチで使えるようにできるかも?、
という計算もありました。
というのも、大判用のレンズなのに「ヘリコイド」が付いているんです。
ね、フライパンみたいでしょ?
ニョキっと生えている棒を動かすと、レンズが前後に動き、
ピントの調整ができます。
フロント側の枠のギザギザは絞りで、
開放F4.5~F45までの範囲で指定できます。
クリックはなく、羽根が15枚もある「真円」絞りです。素晴らしい!
元々は大判用のレンズなので、
ボードにつけるためのオスネジが切られていました。
これの大きさが、実に都合のいい事に52mm!
ただし、山の間隔が1mmあり、フィルターの52mmとは厳密には異なります。
でも、途中までは回るので、固定する事に支障はなさそうでした。
となりゃ、リバースリングあたりを駆使すれば簡単になんとかなりそう!
・・・と思ったんですが、意外にそうはいかず。
52mmフィルターの枠だと、オスネジ側が少し狭く、
鏡胴の方が大きいため、入りません。
フィルター枠が使えないとなると、
なんかいい方法は無いもんか・・・。
とりあえずアイデアを求めて、アローカメラの我楽多屋に行ってみました。
最初は、なんとなく、「フィルター枠52mmのレンズを買って、
レンズや絞りを取り除いて筒だけにして、その先端につける」
という方法を考えていたんですが、
うまく改造の種になりそうなレンズが見つからず。
うーむ。
と悩みながら店内をウロウロしていると・・・、
Nikonの古い接写リングが目に入りました。
実は、Tessarを買った先週の時点で、
接写リングはきっと役に立つだろう、と思い、
とりあえず、「PK-13」と「M2」の2つは購入していました。
共に、同じ長さの接写リングですが、
「PK-13」はAi対応(そして現行品)、一方「M2」は、Auto Nikkorの時代のものです。
今日見つけた接写リングは、どちらとも異なるもので、
Fマウントのオス側とメス側が分離しており、
その間に、ねじ込み式の中間リングを挟む形になっています。
(詳細は、後ほど説明します)
このネジ、このサイズってひょっとして・・・
と思い、ちょっと52mm系のフィルターを拝借し(失礼!)、
ねじ込んでみたところ・・・、
ピッタリ!
これは使える!!
という事で、早速買って帰り、Tessarに装着を試みる・・・
入った~~~!
みよ、この出で立ち!
8段重ねで、D80にTessarがくっつきました!
接写用のアクセサリばかりを重ねているので、
立て付けには全く問題なく、さすがはニコン、恐れ入りたてまつります。
とりあえず、室内で試写してみましたが、
さすがに、大判用のレンズの広大なイメージサークルのうちの、
ごくごく一部だけを使っているので、
必ずしもビシバシにシャープでカリッと、とはいきません。
ピントあわせも、非常に難しく、マグニ使ってもうまく合わせられません。
しかし、ピント面の肌触りの柔らかさと、
ボケの柔らかさは、これまで経験した事のない素晴らしいもので、
否が応でも期待してしまいます!
電車を撮るには適してないかもしれませんが、
焦点距離が15cm、D80で撮ると、35mm判換算210mmの望遠レンズなので、
決して使えない焦点距離ではありません。
いずれ、試写しに行ってこようと思います!
さて、以下については、興味のある方向けです。
まず、このレンズの製造年について。
Carl Zeissは、レンズのシリアルナンバーを、
創業当初からずっと連番で付けているので、
S/Nが分かれば、製造年が分かるようになっています。
このレンズは、30万代の後半でした。
調べてみると・・・、
1920年!
なんと、89年も昔のレンズでした!
どうりで、古くさくてクラシカルな(骨董的な)レンズなわけです。
また、このレンズ、大判用なのに、レンズシャッターがついていません。
普通、大判のレンズにはレンズシャッターが埋め込まれており、
また、絞りも一緒に埋め込まれ、
ピント調節は蛇腹だから、ヘリコイドはついていない・・・、
というのが常識だと思っておりました。
で、調べてみたのですが、「大判=レンズシャッター」というのは、
ごっさんの不勉強による誤解でした。
20世紀初頭の頃は、大判カメラのシャッターといえば、
レンズの前ないし後ろに取り付けるフォーカルプレーン式の、
俗に「ソルントン型」(ソロントン型)と呼ばれるシャッターが使われており、
レンズシャッターは、もっと後の時代の標準だったようです。
また、戦後の報道用カメラとして一世を風靡したスピード・グラフィック(スピグラ)も、
フォーカルプレーンのシャッターが内蔵されていた、という事で、
「大判=レンズシャッター」というごっさんの思いこみは、
ちと不勉強すぎたようであります。
ただ、それでも、なんでヘリコイドがついていて、
レンズ単体で焦点調節が出来るのか・・・、は、謎です。
おかげで、随分楽させてもらってるんですけどね。
レンズ構成は、名前の通りテッサーなので、3群4枚。
時代物なので、一切コーティング無しの、ただのガラス。
しかも、後群のガラスには、気泡も入っている様子・・・?
結構大きいのが、それも複数でした。
最初、汚れと思ってゴシゴシしていたのですが、
どうも、レンズの内部っぽく、気泡なんだろうなぁ、という印象です。
開放~F8くらいだと全く気にならないんですが、
F11あたりから「何か黒いもの」が写り込みはじめ、
F32、F45あたりになると、完全に「黒点」として写り込みます。
そもそも、大判用のレンズの、
ものすごく小さいイメージサークルで試写したわけで、
これをとやかく言うのは、そもそも筋違いだ、という話しです。
どれほど広いイメージサークルかと言うと・・・
※黄色が4×5、緑が35mm判、マゼンタがAPS-Cサイズ。
いやはや、デカイのなんの、ですね。
D80で撮影した場合、全イメージサークルのうちの、
わずか3%!しか使っていない事になります。
ちなみに、35mm判で撮影すると約7%、
6×7判のカメラ(ペンタ67など)につけたとしても、
なんとか33%のイメージサークルしか使わないわけで、
D80での撮影では、このレンズの本来の「味」を生かし切っていないのは確かです。
最近、ペンタ67のジャンクをよく見かけるので、
ちゃんと撮れそうなのを見つけて、
これを付けて撮影してみたいな・・・、という欲望もあります。
※ちなみに、イメージサークルは4×5・・・、という前提で書いていますが、
もしこれが、エイトバイテン(8×10)に対応のレンズだとしたら・・・、
非常に「イメージサークルを無駄にしている」、という事になります。
最後に、今回重要な役割を果たしている接写リングについて。
これです。
全部で5つの部品で構成されており、
それぞれK1~K5と名前が付いています。
K2からK5は、サイドに刻まれているので写真でも分かる通り。
K1は、K2の左側の黒いギザギザがついている部分が、それです。
分解すると、
こうなります。
それぞれの部品のマウントは、
K1: (♂)Fマウント、(♀)Fマウント
K2: (♂)Fマウント、(♀)52mmネジ
K3: (♂)52mmネジ、(♀)Fマウント
K4: (♂)52mmネジ、(♀)52mmネジ ※短
K5: (♂)52mmネジ、(♀)52mmネジ ※長
となっています。
今回は、これらのうち、K3を除く全てのアダプタを使いました。
この接写リングを使うと、例えば、
ペンタのカメラにNikkorを付けての接写も可能です。
Kマウントのカメラ-リバースアダプタ(52mm)-メス・メス変換アダプタ-K3-Nikkor
こう積み上げてやると、ペンタ+Nikkorで接写が可能です。
Fマウントと52mmのオス・メスを自由に組み合わせられるので、
思いも寄らぬ遊びがいろいろできそうです。
今、フッと思いついたのは、
もし、PEN F用のリバースアダプタなんてのがあれば、
Nikkorを付けられるようになるんじゃないかしら・・・!、
という事。
でも、そもそも、PEN Fにリバースアダプタがあったかどうか、知りません。
あるとしても、ものすごい高価で売られている気がする。
それなら、最初から、エレフォトのマウントアダプタを買ってくる方が、
確実で安い、という話しになりそうです。
何事も、都合よくは行きません
逆に、M42のネジとM52のネジを変換するリングがあれば、
Fマウントのカメラに、M42マウントのレンズをつけて、
接写に使えるかもしれません。
そこまでやると、ホントに遊びでしかなくなりますが・・・
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コメント
いやぁ、こんな無改造でなんとかなったんだから、
全然ノーマルだと思うぞー、これでも。
これを気に、大判の人になったりして・・・。
撮影地で度肝をぬくだろうなぁ、
黒幕被って写真撮ってたら(笑)
投稿: ごっさん | 2009年2月 2日 (月) 00時35分
>みよ、この出で立ち!
ぶわっはははははは!!(抱腹絶倒)
久々におバカなものを見せて頂きました本当にありがとうございますwww
フジヤは「直に足を運べば」まさしく桃源郷としか言いようがないなぁ。
遠方ではweb在庫確認が更新された頃には売れてる、ってのがデフォで全く役に立たんのだが
(一昨日はタムロン18-250を、その次はΣ15-30EX-DG(!!)を取り逃がした。後者は10分前まであったといふorz)
投稿: gochi-zoh | 2009年2月 1日 (日) 02時31分