今日、息子を預かってもらっている義父母の家に行ってきました。
折角昨日買ったAT-X 270、
「テレ端開放でソフトフォーカスぎみの描写」が売りならば、
赤ん坊を撮るには最適なのでは?、と思い、
D80+AT-X 270という劇重セットを持参。
撮影中、ホールディングしている右手の、
薬指の爪が肉に食い込んで痛いという、
前代未聞の問題がありましたが(笑)、
気づけば50枚近くもバシバシ撮ってしまいました。
※作例は、肖像権の侵害になるので非掲載
で、なんとなく分かってきた傾向としては、
■「甘い」けど「ピントは紙一重」
「甘い」という言葉からは、「ピントの合っているところが判然としない」
というようなイメージを抱きますが、それは大きな間違いです。
確実に、ピントがあうところは、あります。
んが、それは「超紙一重」。
紙は紙でも、コピー用紙なんてもんじゃなくて、
トレペくらいペラペラの薄いピント面です。
どれくらい薄いかと言うと、「D80のAFで合わない」くらい薄い。
Nikkor-AF 24-50mmや、SIGMA 70-210mm APOだと、
AFでピントを合わせて「はずれている」という事はありません。
また、SIGMA 21-35mmや55mmマイクロなどでも、
マニュアルでピントをあわせ、合ったかな?、という確認で、
フォーカスエイドの緑丸を参考にしますが、ほぼ間違いありません。
しかし、AT-X 270だと、ことごとくはずしました。
(1絞り絞ってF4.0だと、ほぼ問題無し)
これは、レンズとボディの相性かもしれませんが、
AFの「これで合ってるだろう?」の範囲よりも、
AT-X 270の「ここが合ってるの!」の範囲の方が狭い、
と考える方が良いように思われます。
実際、ファインダーを「パッと見た」感じだと、合ってるように見えるんです。
そこで、MFに切り替えて、
ジワ~ッとピントリングを回し
(幸い、今回買ったAT-X 270は後期型、というか中期型?なので、
マニュアルのピントはMFレンズ並み、という好感触仕様)、
前ピン←→後ピンと動かしてみると、
「あ、このポイントが山だな」という点を(意外に簡単に)見つける事が出来ます。
■ピント面はシャープ、でもボケがソフトフォーカス
さて、ピントの合ったポイントは、
とてもシャープで(とは言っても、角が立つ程のビシバシではない)、
髪の毛一本まで描写してくれるんですが、
そこからボケ領域に少しでも足を突っ込むと、
途端に「ぼやけて」きます。
これが、ソフトフォーカス的、という部分でしょう。
前回のエントリーのようにブツを撮ると、
あまりの甘さに閉口する程ですが、
これが人物(特に、今回のような赤ん坊)の場合、
肌合いやら、服の生地の柔らかさやらが際だち、
非常にいい風合いの写真になります
(なりそうです、の方が正確な表現?)
■初期型「大口径標準ズーム」の限界を逆手に取った設計?
AT-X 270の最初のモデルが投入されたのは、
Nikon F4が投入された頃と言いますから、80年代後半でしょう。
かろうじて、Nikkor 35-70mm F2.8なんてのがありましたが、
28mmという広角からの大口径標準ズームとしては、
恐らく初めて世に登場したのが、このレンズのはずです。
(EF28-80mm F2.8、なんていうバケモノはありましたが)。
このレンズ、持てば分かりますが、その重量たるや、
軽く肩を脱臼しそうな勢いで、写していて指が痛くなった、
とさっき書いたのも、決して嘘大げさではありません。
フィルター径も、77mmと超大口径。
まだ、非球面レンズやEDガラスなどを「当たり前」に使える時代でもなく、
一般的なガラス材を駆使して実現した大口径ズーム、
当然、設計にも相当な無理が生じていると思います。
本来なら、いかに収差を抑えて、使いやすく、万能なレンズにするか・・・、
をポイントに設計するのが技師の仕事と思いますが、
そこをあえて、本来ならマイナス要素である球面収差を残し、
「ポートレートレンズ」として利用価値のある70mm域の描写を甘くするという、
デジタルの時代にはあり得ないレンズに仕立て上げた、
希有なレンズである、と言うことが出来そうです。
■アンジェニューの血を引くレンズ?
AT-X 270の事をネットで調べていて、
興味深いカキコミを見つけました。
このレンズ、フランスのアンジェニューにOEM供給されていたらしい、
というのです。
アンジェニュー(Angenieux)と言えば、
その「おフランス」的な甘く、柔らかい描写から熱狂的なファンが多い、
フランスを代表するレンズメーカーです。
(中古だと、どんなレンズも10万以上!は、ほぼ確実、という世界)
ごっさんが、ああだこうだ、とウンチクを垂れるまでもなく、
「アンジェニューの写りだ」、と説明されると、
あぁ、なるほど!、と納得のいく描写ではあります。
正直、使いこなせる自信はあまりないですが、
人やら花やらを、「甘く甘く」、霧の掛かったような、
せしぼーんで、ぼんじゅーるで、めるしーな(??)、
そういう描写の写真を撮るためのレンズのようです。
これから、桜やら花の季節なので
(その後には、これも大好きな紫陽花も控えている)、
無謀にも、AT-X 270で「じゅて~んむ」な描写(??)を狙ってみたいと思います。
※兄に伝言:
まぁ、「鉄分」は足りないレンズだと思うべな、確かに(苦笑
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