水銀電池の代替について考える
会社から一番近い所にある中古カメラ屋は、
恐らく赤坂にある「アカサカカメラ」です。
ただ、webを見る限りは舶来品中心の品揃えのようなので、
これまで敬遠してきました。
先日、何か調べごとをしていたときに、
たまたまアカサカカメラのサイトに辿り着いたら、
年末セールでジャンク品の販売もしている、と書いてありましたので、
晴れて?、初めて足を運んできました。
数は多くありませんでしたが、なかなかおもしろいラインナップで、
その中から、「Canon Canonet G-III 17」を1500円で、
既に持っていますが、研究用に、
「PENTAX PC35AF」(今回はデート付き)の完全ジャンクを100円で購入。
Canonetは、レンズの清掃、電池室の電極磨き(ご多分に漏れず液漏れ)、
ファインダーの掃除、そして開閉レバーの調整
(曲がっている部品があり、開きやすくなっていた)を行い、
ちゃんと動作してくれるようになったようです。
こちらの動作チェック報告は、またいずれ。
このCanonet、古いカメラなので当然ながら、電池は「水銀電池」を使用します。
しかし、水銀電池は、とっくの昔に国内から絶滅しています。
古いカメラの露出計を動かそうと思うと、
この「水銀電池の代替方法」で悩むこととなります。
で、いろいろ調べながら、自分なりの結論が見えてきました。
■そもそも、アルカリでも電圧は水銀電池並み?
水銀電池の電圧は1.3Vでした。
一方、現在最も気軽に購入できるボタン電池はアルカリ電池で、
公称電圧は1.5Vです。
ところが、この1.5Vというのは、あくまで「新品」の時の話し。
こちらのSONYのサイトの製品情報によれば、
新品時のアルカリ電池の電圧は、1.5Vを少々上回っていますが、
少し使うと1.5Vを割り込み、じりじりと下がり続けていき、
寿命が近づくと、一気に0Vへ落ち込んでいるのが分かります。
こうしてみると、その寿命のほとんどは1.3~1.4V付近で推移しているように見えます。
新品ならともかく、ある程度使用した限りでは、
水銀電池と大して変わらない電圧なのではないか?、と推察されます。
■電圧違っても問題無い?
そもそも、露出計は電流計の一種だから、
電圧変わっても、出てくる値は変わらないのでは?、
という意見をネットで見たことがあります。
また、多少のボルテージの変化があったところで、
数値が変動しないようなブリッジ回路になっているのでは、
という意見も見たことがあります。
これは、個々のカメラの仕様にも絡むことなので一概には言えないですが、
そういう構造の露出計であれば、なるほどその通りだろうと思います。
ただ、水銀電池の特性は、
アルカリ電池と異なって「新品から寿命まで、1.3V一定」でしたので、
そういう特性に依存した露出計であれば、
上記の理屈が通用しない可能性も充分にあり得ます。
■そもそも精度が当てになるのか?
(1)一眼レフのTTL露出計だとまた話が変わってくるかもしれませんが、
コンパクトカメラの露出計の場合、
レンズの上辺りに、CdSの窓がポカッと開いていて、
そこから入ってくる光で露出を計る、というものが多いと思います。
昨今のデジタル技術の発達したカメラで、
超多分割測光を駆使したカメラであっても、
得られる露出が適正じゃない事もしばしばです。
まして、水銀電池時代の露出計の精度が、
そこまで厳密に「ゼッタイ1.3Vじゃなきゃ合わない!」
と杓子定規になる程ではないんじゃないのか、というのが1点。
(2)加えて、水銀電池を使うカメラは、
大体1970年代までのものだと思うので、製造から30年以上経過しています。
CdS自体も劣化しているはずですし、
露出計付近にある抵抗なんかも劣化しているかもしれません。
仮に、新品当時に1.3Vの電圧をかけると完璧な適正露出を得られたとしても、
30年後に全く同じ挙動を示してくれると言い切ることが出来るでしょうか?
■ネガのラチチュードは広い
そして、最後は「他力本願」です。ネガのラチチュードを甘く見てはいけない!
去る9月、初めてチビを連れて帰省した時の事。
せっかくだから、家族みんなで集合写真を撮る事にしました。
持って行っていたカメラは、「MAMIYA-6」と、「NIKON D80」。
マミヤがメインで、D80がサブ、という役割でした。
三脚に両方を据え付け、あらかじめD80で試写して適正値を得て、
そのシャッター速/絞りをマミヤにトレース。
そして、全員並んで、セルフタイマーで、はいチーズ。
ってな事をしている間に、太陽が雲間から顔を出し、
露出がかなりオーバーになってしまっておりました。
先にD80でチェックしたところ、RAW現像段階でも修正不能なほど露出オーバー。
あぁ、せっかくの家族写真が・・・
すっかり気落ちしていたのですが、
後から、マミヤに装填していた「KODAK EKTAR」を現像してみてビックリ!
同じオーバー条件にもかかわらず、こちらはコントラストが落ちるでもなく、
むしろ、夏っぽい感じの明るい画が完璧に撮れていたのです。
この時、「あぁ、ネガのラチチュードが広いって、こういう事か!」と、
ものすごく今更ながらに実感をしたのであります。
もちろん、これはネガの話しですし、そのネガでも、
アンダーには弱いのが特性ですので、
適正外れても全く心配なし、と言いたいわけではないですが。
それでも、露出計の針が「+-のど真ん中」に来ないと適正じゃない、
その状態で適正じゃないとおかしい、と思い込んでも仕方ないのかな、
と思うようになりました。
(僕も昔は、「ど真ん中ドンピシャ派」でしたが)
■目下の結論
なので、古いカメラに使う電池は、アルカリでも何でもいいんじゃね?、
というのが、ごっさん的な、今のところの結論です。
現在、手元のカメラですと、
PENTAX SP、Konica C35の2台で、
本来水銀電池を使用すべきところ、
アルカリ電池をそのまま入れて使っていますが、
それほど「著しく露出が外れる」という感じでもありません。
ポジで試してもそう思ったくらいなので、
ネガ利用なら尚更「許容範囲内」なのかな?、と思っています。
■とはいえ・・・
無知なごっさん、こんな調べごとをしている間に、
「空気亜鉛電池」なるものがある事を知りました。
そもそも補聴器用に売られている電池ですが
(そういうものがある、って事は知ってましたが)、
電圧は1.4Vで、新品~寿命までほぼ一定をキープしているそうです。
こりゃ、水銀電池に最も近い特性ですね!
「PR44」という電池なら、MR44やLR44と同じ大きさ形なので、
手持ちのKonica C35あたりにはバッチリいいんじゃないかな?、
と思います。
また、最初に書いたCanonet G-III 17の方は、
本来は「MR-9(H-D)」という水銀電池が必要ですが、
とりあえず、「小は大を兼ねる」(?)で、
LR44を入れた上、アルミホイルをスペーサーとして挟んでみたら、
ちゃんと電気流れるようになりましたので、
同じ大きさのPR44を使うのがベターかな、と思われます。
試写の際は、そのPR44の試用も兼ねてトライしてみたいと思います。
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