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2010年2月25日 (木)

「腐っても鯛」と書いて「ボロくてもNikon F2」と読む?

Dsc_360001

はじめて「Nikon F」を手にした時、
体が硬直するほど緊張し、我を忘れてしまった事を覚えています。

ニコンのカメラの中でも、レンジファインダー機をはじめ、
「F」や「F2」の人気の高さは21世紀でも変わらないものです。
個人的には、ニコンのカメラというのは実用性重視で、
棚の中で新品同様の輝きで飾られているのは、
カメラとしては不本意なのではないか、と思うのですが、
先日足を運んだ松屋銀座の中古カメラ市でも、
相変わらず、数十万円なんてニコンがずらっと並んでました。

さて、ご存じの通り貧乏性?なごっさんには、
オールドニコンなんて分不相応、と思って気にもとめてなかったのですが、
縁あって、「F2」がうちにやってきました。

そもそも、親戚から「F2を直して!」と頼まれた事から話しは始まります。

うーん、F2かぁ、それは荷が重いなぁ。
まずは、ボロいジャンクを分解して練習しないと・・・

と思い、まずはボディのみを購入。これが\3.780-。

これだけ安けりゃ、ボロボロでまともに動かないだろうから、
安心して分解しまくれる・・・、と思ったら、これが、
なんとも快調に動いてるのには、大層驚きました。

明らかに落下したヘコみはあるし、
塗装もあちこち剥がれてるし。
見るからにズタボロなのに、
ミラーも、絞りレバーも、シャッターも、非常にスムーズに動作。

これが、かつてあまたのプロカメラマンの全幅の信頼を得ていたという、
Nikon F2の堅牢性なのか・・・

などと関心しておりましたところ、
親戚から持ち込まれたのは、
なぜかF2ではなくF-501。

あれれ~~~???

事の経緯はよく分からないまま、
とりあえずF-501は直したんですが
(ちなみに、電池液漏れで電極腐食が故障原因)

さて、このF2はどうしたものか・・・

折角格安のジャンクで買ったのに、
ファインダーやスクリーンを高値で買うのもバカバカしい。

よーし、せっかくだから、全部ジャンクで揃えて
「総額1万円以下のNikon F2、稼働品」を目指すか!

スクリーンは、少々キズありで2100円のものをゲット。
そう大した傷じゃないので、覗いても気にはならず。

問題はファインダー。
安くなれば、当然不具合があるはず。
プリズム腐食なんてのは撮影に支障があるので却下。
露出計不良のファインダーが一番狙い目かな・・・

と思っていたところに現れたのは、
露出計不良の但し書きがついた、「DP-1」(爪式の露出計)、
これが\4.200-なり。

すなわち、

\3.780 + \2.100 + \4.200 = \10.080-

う~ん、80円だけ足が出るのかぁ。
どうしようかなぁ。

などと、一瞬真面目に悩んでしまったのですが、
まぁ、それは誤差の範囲と考え、このファインダーを購入。

こうして、「約1万円、稼働品」のF2、完成~!、となったのであります。

Dsc_360301

露出計は、別に動かなくてもいいや、と思っていたのですが、
きっと、CdS不良でピクリとも動かないんだろう、
と思って電池入れてみると、ちゃんと動いてるでやんの。

なんで?何が不良?、と思ってよく調べてみると・・・、

絞りをF5.6より暗い所にあわせている分には、問題なし。
ところが、F5.6より明るい絞りにすると、
露出計の針が、右に左にピュンピュン飛び回ってるし。
絞りやシャッターに手を触れていないのに、右に飛ぶわ、左に飛ぶわ。

これは、CdSじゃなくて、回路の方、しかも可変抵抗に問題があるのでは・・・

動かなくていい、と思って買ったものですが、
動いているとなると使いたくなるし、
その動きが悪いとなると、それはそれで気になるので、直したくなります(笑)

けど、分解するのはなかなか難儀なんだろうなぁ・・・、
と思って、実はしばらく放置しておりました。

ところが、調べてみると、これが意外に簡単。
CdS交換を目的に、いろんなサイトで分解方法のイロハが公開されていて、
それを参考に分解修理する事が出来ました。

※多分、これが一番分かりやすい→CdSの交換方法

で、「DP-1」を途中までバラしてみたのが、こちらの写真。

Imgp0638

右はペンタプリズムと、その上に乗っている基板。
基本的にはCdSで読み取った明るさの情報を、
メーターの方に電気信号として送るだけの部分です。

左が、巨大な可変抵抗や、メーターがある露出計中枢部分。
ちょっと見にくいですが、赤い印の部分は、
絞りを動かした時の露出を変化させる部分。
青い方は、シャッターやISO感度で、露出を変化させる部分。
シャッター・ISOの変化と、絞りの変化は、どちらも、
ファインダー内部のこの1箇所に集約され、処理されています。

で、今回は、赤い部分の表面、電極と触れる部分がアヤシイと睨み、
接点復活剤をつけて軽く拭いてやりました。

すると、メーターの針がピョンピョン跳ぶことも無くなり、
安定して動くようになってくれました。

原因をよく考えていけば、この辺に問題がありそう、
という予想がつきます。で、無事に直ったようで、一安心。

しかし、このファインダー、どうも「粗悪修理」をされていたようで。

最初、バラし方が分からない時、
まずはトップの革をはがしてみよう・・・、と思い、
アルコールを流し込んだり、ドライヤーで暖めたり。

しかし、全くビクともしない。

イライラしてきて、結局力尽くで剥がしたんですが、
なんと、ゴム系の接着剤か何かをベッタリ塗り込んで貼り付けてあり、
完全に革が硬化して、ほとんどプラスチック状態になってました。
こりゃあ、剥がれるわけがありません。
結局、カッターでちまちま削り落としてく作業・・・、
ほとんど、Nゲージの改造をやっているようなもの・・・

なお、この革を剥がさないと、露出計調整用のネジに届かないので、
いずれは剥がす必要がある部分でした。
(シャッターダイヤルのネジを緩めて調整する事も出来るみたいですが)

革なんて、またいつ剥がすか分からないところなんですから、
後のことを考えた処理をしないと困りますね。

露出が正しく出ているかどうかの確認が済んでから、
新しい革を貼って完成にさせたいな、と思っています。

NikonのFやF2、それにF3は、
なるべく手を出さないようにしようと思っておりましたが
(だから、F4や、ELなどを導入しておりましたが)、
予想外に、うちのニコンシステムに加わってしまいました。

他のどのカメラよりも、高いステータスと存在感を発揮するカメラです。

その割に、始めてFを手にした時の高揚感、ドキドキ感が無いのは、
このボロボロな外装のせいなのか、
はたまた、単に中古カメラ慣れし過ぎているせいなのか・・・

使い続けていけば、その偉大さを分かるようになるかもしれませんが、
今はまだ、事の重大性を認識できず、のほほんとしております。

*2013/4/28追記:

その後、ファインダーを、Ai方式の「DP-11」に換装。
そっちの方が安かったので、「トータル1万円以下」の目標を達成(笑)
そちらの詳細はこちら

(追記ここまで)

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コメント

バケペンの、特に初期の「6X7」だと、
電子系がへたってて、うまく撮影できない事も、珍しくないようです。

マイチェン後の「67」や、最後期型の「67II」の方が、安定性は高いと思います。

自分も、最初に買った「6x7」はシャッターに問題あり、
次に買った方は、巻き上げに難あったものの、
まぁ撮影できる状態だったので、それを使ってた、という感じでした。
(それも、去年手放してしまいましたが。)

投稿: ごっさん | 2014年2月11日 (火) 02時24分

こんにちは。

その後、バケペンをもう一台落札したら、、、
シャッターを切った後、ミラーが戻らないことがあり、(動かしているうちに治ってきましたが)
また、巻き上げレバーの戻りが悪くなり、最後は巻き上げレバーが異常に硬くなってしまいました。
初期不良として返金となりました。

2回連続です。はぁ・・・

投稿: たかぽん | 2014年2月 5日 (水) 11時55分

たかぽん様

レス遅くなり失礼しました。

オクは怖いですね。安く落とせそうなイメージありますが、
競合がいると、ついつい「張って」しまいますし、
送料を含めると結局割高になる事もしばしば。
あらかじめ「これには、いくらまでかける」と決めておいて、
その値段をドンと一発張って、後はほったらかし、
というのが一番いいような気がします。
(そんな自分は、最近はすっかり「出す」方が多くなってますが)

F2、ボロボロでしたがずっと快調でしたが、
全然使わないし、知り合いから「F」も頂いたりしたので、
この際、F2の方は売りに出そうと思っております。

投稿: ごっさん | 2014年2月 1日 (土) 01時16分

三度目のこんにちはでございます。

6x7判のスキャナの件ではどうもありがとうございました。

F2で検索していたら、三度ごっさんのページが出たので、書き込ませてください。

オークションでF2が安く出てまして、目の前で競り負けてしまい・・
(中古屋のF2の半額程度のものがごろごろありまして、軽い興奮状態)
咄嗟の衝動で外観がかなりくたびれたF2を落札しました。
やはり写真を見るとスレが多く、大丈夫かなと不安になってしまいました。

振り込んだ翌々日に商品が到着し、動作確認すると、
露出計が動かない、モルトが劣化、(最初は出来ていたのですが)
フィルムの巻き上げが出来なくなりました。

こういう状態になりました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1156206211
OH並の修理が必須のようです。

初期不良ということで返金に応じてくれる出品者さんのようなのですが、
これから返送したり面倒です。

オークションで熱くなってはいけませんね。
(今は反省している。)


(実は、落札したバケペンも到着1日目はなぜかシャッターが下りないという状態で相当凹んだのですが。)
(なお、二日目から普通に動いてます。)

投稿: たかぽん | 2014年1月26日 (日) 00時23分

この記事へのコメントは終了しました。

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