カメラのデザインの好みは人それぞれ。
例えば「レンジファインダー(RF)」で括ってみたとしても、
ライカと言えばバルナック、いやいやIIIf、いややっぱりM3・・・、
といろいろ意見が出てきそうですし、
やっぱNikon SPか、はたまたContaxか・・・、
という声も聞こえてきそうです。
でも個人的には、RF機で一番いいと思っているのは、
全盛期のキヤノンだったりします。
キヤノンならではの「八角形」スタイルが理由かもしれませんし、
皮やニッケルメッキの質感なのかもしれません。
あるいは、距離計窓が丸いからかもしれません。
最末期のCanon7は、便利ではありますが、
デザインという意味では、ちょっとゴツい気もします。
今でも、Canon Pの人気が高いのは、
機能よりもデザインの秀逸さが秘訣かもしれません。
先日、3000円という破格ジャンクで購入した、Canon VLは、
そんな僕の「琴線に触れる」RF機の1つです。
「V」はローマ数字なので「5」です。「5L」(ご・える、ふぁいぶ・える)と読みます。
「L」は50の意味だから45か?とも思いましたが、
ローマ数字の45は「XLV」だそうです
(XLが50-10で40、それに5を足す。あー、ややこしい)
キヤノンのレンジファインダーカメラは、
Pや7など一部を除き、本体に機種名が刻印されていません。
そのため、仕様を元に特定していく必要があります。
キヤノンカメラ各型の見分け方 (キヤノンカメラミュージアム)
キヤノンのオフィシャルの見分け方ですが、
これだと1955年以前の機種しか載っていないので、
それ以降のモデルは、個別に開いて確認する必要があります。
年代別1956-1965 (キヤノンカメラミュージアム)
今回買ったカメラの特徴は、
・巻き上げが上部のレバー式(下部のトリガー式もある)
・シャッター最速が1/1000秒(1/500もある)
・高速側シャッターが「中軸指標付き回転ダイアル式」である
(一軸回転、一軸不回転などもある)
・高速側シャッターが1/60秒まで(1/30までのものもある)
・低速側シャッターが1/30秒から(1/15からのものもある)
・フィルム巻き上げがクランク式(ノブ式もある)
・セルフタイマーが付いている
・ファインダーが「35」「50」「RF」の3段切替である
といったところから、上記リンクの通りVLであると判断した次第です。
こちらの写真には「HEXAR」レンズがついておりますが、
これは引き延ばし用なので、ヘリコイドがついておりません。
撮影用につけてみましたが、よく似合います。
小西六(コニカ)の引き延ばし用レンズです。
そもそも、うちにあるLマウントのレンズと言えば、
このHEXARくらいしかなかったのですが、
先の写真についている「Canon 50mm F1.8」は、
今日、何はともあれレンズを1本、と思って調達してきました。
いつも、上等なジャンクを安価で入手できる代々木カメラさんで、
3本あった中から、6300円のものをチョイス。
ちょっと鏡胴にガタがありましたが、
「曇ってて当たり前」な50/1.8なのにすごくクリア。
それだけで、充分過ぎる程のコンディションです。
本当は、廉価でいい写りのVoigtlanderを頼りにしていたのですが、
最近はMマウントのレンズばかりで、Lマウントがあまりありません。
新品で3万円前後と安価だった、Color Skopar 35/2.5や50/2.5など、
既にディスコンになっています。
じゃあ、と、去年末に発売された、
HELIARの限定50/3.5とか、50/2もいいなぁ、
なんて思って調べてみたら、もうどこにも売っていない。
うーん、Lマウントの限定品って、そんなにすぐ無くなるんだなぁ。
また、折角のRF機なので、
レトロフォーカスじゃない広角レンズ、というものを是非試してみたいです。
同じくVoigtlanderの12/5.6や15/4.5もいいんだが、
Lマウントだと距離計が動かないんだなー。
でも、もうディスコンになったと予想される15/4.5は、
目下3万円台で買えるらしい。うーん、激しく物欲が・・・
その昔、ニコンがニッカに供給していた50mm F2は、
3群6枚のゾナータイプだったそうだ。
と言われるだけでゾクゾクしてくるゾ。
そして問題は、果たして「禁断の」ライカに手を出すべきかどうか。
古くて人気が無くて数が多いレンズは安かったりするんだろうか?
今まで興味を持ったことがないので、皆目見当が付きません。
またまた悩ましいカメラが増えてしまいました。
今回買ったCanon VLのジャンク品は、
各部動作不良、というか、
動くはずのスイッチが動かないとか、
動きにくくなったりとか、という状態で、
持ち帰ってからいじっていたら、
とうとうシャッターも降りなくなってしまいました。
何はともあれ分解して、油でもささなきゃかな・・・、
と思いながら、LEDライトで照らしながら中をジロジロ・・・、
おや?何か入ってるぞ・・・
が、ガラス片!?
しかも、本当に普通のガラス片で、
ファインダーが割れているとか、
フィルムカウンター窓が割れている、とかではありません。
何でこんなのが中に入り込んだのだ?
まぁ、確かにバラされた痕跡はあったけど・・・
結局、それを摘出したら、無事に動くようになってくれました。
分解は、最初はおっかなびっくりでしたが、
慣れてみると、意外にサクサク。
ただ、外さないといけないところが多いです。
■軍艦部を外す
以下の部品等を撤去します。
・シャッターダイヤル(脇の3つのイモネジを緩める。外さなくていい)
・シャッターボタン部フィルム巻き上げロック解除スイッチ(同上)
・ストロボ接点(カニ目を回すと外れる)
・距離計窓(同上)
・フィルム巻き上げレバー(同上、いくつかの部品を外す)
・巻き上げレバー脇サイドのネジ
・フィルム巻き戻しクランク(以下写真参照)
・アクセサリーシュー(距離計調整ピンも。以下写真参照)
これらを外すと、軍艦部を外す事が出来ます。
巻き上げレバー付近のつまみ(カウンターセット用)は、
固いですが外れますので、慎重に持ち上げます。
さて、クランクとシューの外し方ですが、
クランクは、赤丸のネジ(裏側も)だけ外します。
脇の小さい方は関係ありません。後で戻すのも大変ですし。
トリッキーなのは、これです。
シューに、外付けファインダーをつけた時、
パララックスを補正するため、このピンが上下し、視野を調整します。
この小さいピン自体が、ネジになっており、
これを外さないと、シューが外れません。
わずかに、脇に溝があるのが分かるでしょうか?
そこに、カニ目回しなどをあてがってやり、回してやります。
マウントの距離計連動レバーを押してやると、
このピン自体も持ち上がるので、作業が楽になります。
■本体をばらす
更に内部までみる場合は、着ぐるみを剥がさないといけません。
いわゆる「もなか構造」なので、意外と簡単にばらせます。
・底カバーを外す(ネジ2つ、三脚穴のカニ目)
・セルフタイマーを外す
・フロント左右2個ずつあるネジを外す
(ネジが皮の中に隠れていないのは、作業上非常に便利ですね)
・マウントを外す(4つのネジ。以下写真参照)
・マウント内側のネジを外す(5つ。同上)
・低速シャッターは、外さなくてよい
マウント部は、都合9つのネジで固定されています。
マウント自体は、4つのネジを外すと、簡単に外れます。
赤丸は、マウントを固定していた4つのネジ穴です。
青い5つのネジも外します。
大事な事は、これらのネジの位置関係を、
完璧に把握しておき、後で元に戻せるようにしておく事です。
フランジバックの調整が狂いますし
(マウントの裏側に、スペーサー等が挟まっていて調整済みなので)、
そもそも、それぞれネジの大きさや長さも異なっているようです。
これらを外してやると、着ぐるみを外す事が出来ます。
「もなか」の皮をはがしました。
ヒンジ部で、表裏が繋がっているわけです。
骨格があらわになりました。
なお、この写真では、セルフタイマーも外しています。
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