SIMロックフリーで激変するケータイビジネス(1)
XPERIAの発売されましたね。
早速、対抗馬が大好きなS社からも、
HTC Desireなるものが発売されると発表。
うちのOSは2.1だ、向こうはまだ1.6だぞ、と鼻息荒い。
後手後手だったK社も、シャープ製のAndroid機を発表。
あっという間に3社のAndroidが出そろいました。
ニュースでも、ここ数日、Xperiaの事がさかんに取り上げられ、
毎日のように「DoCoMo、いよいよ反転攻勢へ」
的な報道を重ねておりますが、
そんなに市場は熱狂的に待っていたんですかねぇ?
僕も確かにソニエリ党でしたが、今回はそれほど関心がありません。
やっぱ、i-modeメールがネイティブで備わっていて、
普通に使えてくれないとなかなか・・・
一応、秋には対応してくれる、という話しですが。
ところで、Xperiaの発売に合わせるかのように、
総務省は、久しく静観していた「SIMロックフリー」を言い出し、
しかも、今回は法制化して強制しようとしています。
何度も公聴会やったりして議論してきたわりに、
結局はこうやってトップダウンになるわけですから、
結論ありきで時間掛けて議論してどうするのか、
と言いたくなります。
しかし、各キャリアは、この要求をあっさり呑んだようです。
数年前までは、是が非でも断固反対、の立場だったはずが・・・
各キャリアは、いずれこうなるだろうと予測し、
「その後」を睨んで商品を展開してきました。
Xperiaなんて、まさにその1つです。
それなりに道筋をつけられそう、と判断しての受諾だったのかな?、と思います。
なぜ総務省はSIM鍵解除にこだわるのか?
表向きは「国内での競争を促す事で、価格の下落に繋がる」
などと言ってますが、本心は別のところにあって、
「国内メーカに、海外への積極的な進出と競争を促す」
事の方が主な目的のようです。
曰く、日本では、キャリア主導で端末が作られる。
端末メーカは、キャリアの意に沿った製品を作るだけ。
なので、国内のケータイは「ガラパゴス」状態だし、
各メーカが海外に進出する機会を阻害している、と。
なんともバカバカしい話しです。
日本のキャリアが、メーカに課している課題は、
非常に厳しく難しいもので、それを実現するのは、大変な技術が必要です。
「ガラパゴス」と言うと進化が止まっているようなイメージを受けますが、
実際は「進化し過ぎている」と言った方が正しいです。
NOKIAなどは、日本では勝機無しと判断して撤退しました。
むしろ、「悔しかったら、こんなの作ってみれば?」
と自慢してもいいくらいです。
それが逆に、海外で通用しない原因でもありますが。
また、一般に「日本のケータイは高い」と言われますが、
それも実はおかしな話しなのです。
ケータイは、少し前までは「1円」で買えるのが当たり前でした。
それはそれでおかしいわけですが、
ビジネスとしては成立していたのが、また不思議な事であります。
各キャリアは、端末メーカにケータイを作らせるわけですが、
開発費の半分程度は、キャリアが負担しています。
今でこそ、SHはシャープ、Pは松下(パナソニック)など、
メーカが宣伝・CMを打っていますが、
これも前までは、ゼッタイに製造メーカ名を表に出しませんでした。
あくまで、N502iは「DoCoMoの製品」、P902iも「DoCoMoの製品」、
として売られていたからです。
OEMとは少し違いますが、
販売者と製造者が違う、という意味では似ているかもしれません。
一方で、キャリアは、お客様に販売する時も、
本来の価格よりも安い値段で販売するため、
いろんな手段を講じています。
以前なら、「販売奨励金」、つまり「1台ケータイが売れるごとに、
一定額の奨励金を販売店に与える」というシステムでした。
現在では、端末購入時に2年契約をする事で、
「その2年間に分割払いしてくれれば、基本料金を安くしましょう」
という感じで、総合的に端末価格を相殺するやり方が多くなっています。
メーカの開発費を負担し、かつ、ユーザの端末代も負担する。
それでも儲けを出せるのは、
ユーザが支払う諸々の料金で収入を得ていたからでした。
すなわち「通話代」「通信代」、そして「コンテンツ売上手数料」です。
今は、奨励金ビジネスをあきらめて、
本体価格はあまり下げずに販売し、
その変わり、基本料金を安くしたり、各種割引を多く用意するなど、
市場のスタイルに変化をもたらしてきました。
この変化は、SIMフリーへの前振りであった、と理解する事が出来ます。
ちなみに、話題話題と耳にタコができるアイフォーンですが、
これは典型的な販売奨励金ビジネスで成り上がってきました。
アイフォーンの販売が始まって割とすぐに、
3Gの8GBモデルが実質タダになりました。
そのキャンペーンも、期間限定と謳っておきながら、
何度も何度も延長し、今では、3GSの16GBが、実質タダです。
実質、って事は、その値下げした分は、
SoftBankが負担しましょう、という事です。
また、Apple社は、アイフォーンの売上の何割かをピンハネしていきます。
ユーザの多くは、アイフォーンでは電話しないでしょうから、
「通話料」で稼ぐのは難しい。
通信は、定額制にしている人が多いはずなので、
「通信料」で稼ぐ事も難しい。
音楽やアプリの配信は、Appleが運営している直営サイトのみ。
なので、一般の着メロ、着うた、待ち受け等のように、
コンテンツプロバイダが配信して売り上げた一部を、
キャリア側がピンハネする、という「コンテンツ手数料」ビジネスも取れない。
正直、アイフォーンの売上で本当に儲けは出ているのか?、
という疑問があります。
まさに、BBモデム無料配布、に近い戦法ですが、
「その後」儲かる術が無いように思われて仕方ないのですが・・・
アイフォーンが牽引するスマートフォンビジネス、なんて言いますが、
こんな崩れたビジネスモデルで成功成功と言っているのが、
とても不思議で、疑問で、不気味であります。
さて、もう長くなってきたので、
本当に喋りたかった「コンテンツビジネスの崩壊」については、また次回に・・・
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