« SIMロックフリーで激変するケータイビジネス(1) | トップページ | 続・桜色の山手線 »

2010年4月 3日 (土)

SIMロックフリーで激変するケータイビジネス(2)

ケータイギョーカイには「CP」という言葉があります。

他にも「PV」だの「MG」だの「PD」だの、
いろんな略語が飛び交う世界ですが、
「CP」も、理解できていないとモグリと言われるであろう単語です。

「コンテンツ・プロバイダ」を略したのがCP、です。
コンテンツは着メロ、画像、電子書籍などのコンテンツ(説明になっていない)、
プロバイダは「提供者」の意味ですから、
それらのコンテンツ(としか言いようがない)を販売している会社、
という事になります。

有名どころは、レコチョク、ドワンゴ、ザッパラス、グリー、モバゲーなど。

無料で配るようなコンテンツは、今回は話しの対象にならないので割愛するとして、
着うたや電子書籍などを販売する仕事をしているのが「CP」です。

CPは、各キャリアが運営しているネットサービスに、
自前のサイトを載せて貰い、
そこで配信しているコンテンツの売上で儲けを出しています。

各キャリアのネットサービスとは、
docomoは「iモード」、auは「EZweb」(最近はau oneとも言う)、
SoftBankは「Yahoo!ケータイ」の事です。

ここで販売されるコンテンツは、
後日、電話代と一緒にお客様に請求されます。

なので、docomoなどキャリアが運営しているサービス、
のように勘違いされる方も多いですが、
実際は、CPがサイトを運営し、そこで販売されているわけです。

もし、キャリアが課金を用意しないと、
CPは、クレジットカードの番号を入力させるなど、
面倒な方法でしか課金する事が出来ません。

docomoが90年代末に「iモード」を始めたとき、
一番賢かったのは、電話代と合算して、docomoがユーザに請求し、
入金された売上をCPに分配する、という課金システムを構築していた事です。

当然、CPに支払われる時には「手数料」が天引きされます。

これが結構大きな売上になります。
恐らく、それぞれのキャリアで億単位の売上が、
コンテンツ課金の手数料から発生しているのです。

通話よりも通信の方が利用される傾向にある昨今のケータイ事情で、
かつ、通信料が定額でもやっていける理由の1つは、
この「コンテンツの売上からピンハネした手数料」
にある、と言っても過言ではありません。

ところが、今話題のアイフォーンは、
コンテンツの販売はApple社自前のストアなので、
ユーザがアプリをダウンロードしても、
S社には手数料が入ってきません。

先頃発売されたXperiaも、
アプリの購入はアンドロイド・マーケットになるので、
ユーザがアプリをダウンロードしても、
d社には手数料が入ってきません。

これに関しては、d社も対応を考えているようで、
年内のうちには、独自のマーケットを立ち上げ、
これまでのケータイコンテンツと同様の、
電話代と一緒に支払える仕組みを整える、という事です。

先頃発表されたK社のAndroidでも、
d社と同様、Googleのマーケットだけではなく、
K社独自のマーケットを立ち上げ、
通常のケータイと同じ仕組みのコンテンツ配信を行う予定、
と報道されています。

しかし、折角のアンドロイドなのに、
そんなキャリア独自仕様のマーケットや課金を用意する事に対し、
「なんでわざわざガラパゴスにするの?」
という声が既に出始めているようです。

それに輪を掛けるように、総務省主導により、
SIMロックが解除されたケータイが発売されるようになります。

SIMフリーになると、
持っている端末の通信会社をd社からE社、
E社からS社、などと変えられるようになるわけですが
(K社は、通信方式が違うので、まず無理)、
その変わり、各キャリアが独自に用意するサービスである
「iモード」などには対応できなくなります。

Androidケータイも、
あんまりキャリア独自の仕様を詰め込み過ぎると、
「SIM入れ替えても、使えるのは電話とSMSだけ」
なんて目も当てられない事になりかねません。

SIMフリーになれば、販売されるケータイ自体、
キャリアサービスへの対応が外れた形に落とし込まれる事になります。

ユーザは、これまでの「4桁のパスワードでコンテンツを購入できる」
という利便性を失う事になり、
また、キャリアは、コンテンツの売上による手数料収入も失う事になります。

コンテンツビジネスにおける売上は、
Apple社やGoogle社など、公式のストアをもつ会社だけに集中するか、
あるいは、レコチョクなど最大手クラスの会社が、
独自にアプリを作って配信するなど、
より一極集中が進んで、多様性が失われていく事になります。

良いか悪いかは、人それぞれですが、
ここ5年から10年の間に、
何もかもが変わってしまい、これまでの常識が通用しなくなる事だけは、
まず間違いないだろうな、と思っています。

加えて、そんな変わってしまった世界が、
今と比べて便利で、安心で、間違いがないものになる、
という保証も、全くありません。

海外では、日本と違い、
ケータイを通したコンテンツの販売はさかんではありません。

それは、SIMフリーが原則であるなど、
それなりに理由があっての事でした。

恐らく、日本もそういう世界に変わっていきます。
「着うたって、何?」と、子供に聞かれる時代は、意外とすぐそこに来ています。。

※2回に分けて長く書いた割に、
何が言いたいのか時分でもよく分からなくなりました。スイマセン。

|

« SIMロックフリーで激変するケータイビジネス(1) | トップページ | 続・桜色の山手線 »

携帯・デジカメ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« SIMロックフリーで激変するケータイビジネス(1) | トップページ | 続・桜色の山手線 »