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2010年7月25日 (日)

★タンポポチップ:【解説】Ai-Sの絞り制御

Ai-S Nikkorに取り付ける事により、
「Ai-P化」する事が出来る魔法のようなチップ、
「タンポポチップ」の事を集中的に取り上げております。

★タンポポチップ:【予告】NikkorのAi-SをAi-P化するパーツ登場!
★タンポポチップ:【いきなり実践】Nikkor Ai-SをAi-P化!
★タンポポチップ:【設定】カメラで設定??

しかし、もし長年ニコンのカメラを使われていたとしても、
このチップの価値、意味を、すぐさま理解できない、
という方も多いと思います。

そこで今回は、「そもそもAi-Sとは何ぞや?」
という根本的な話しをおさらいしていく事にします。
特に重要なのは「絞りの制御」の話しです。

今回の解説を書くに当たっては、
「そもそも、ニコンFマウントとは何ぞや」
を理解できていないと、「???」になる可能性があります。

Fマウント全般の説明については、
以下のサイトに非常に詳しく書かれており
(あまりに膨大で、ちょっと眺めたくらいでは理解できないかもしれません)、
まずは開いて頂いて、今回のエントリと並べてご覧いただけると、
理解が進むのではないか、と思います。

決定版(?) ニコンFマウント解説 (By キンタロウ)

ところで、ニコンはFマウントを「50年間不変」だ、
などと豪語しているわけですが、
そんなのは大嘘で虚構だと言うことを、多くのニコンファンは知っているはずです。

不変なら、Nikon F時代のAuto Nikkorレンズを、
D80に取り付けて、せめてAuto Nikkor時代の全ての機能
(爪を介しての絞り値伝達、それによる露出計制御)
を利用できないとおかしいのです。
しかし、現実には「付ける」事さえ出来ません。
「Ai改造」が必須となっております。
しかも、本当に「付けられる」だけで、
露出計の連動もないので「完全マニュアル」での撮影になります。
かろうじて、自動絞りに対応している程度のもの。

これは、レンズからカメラ本体への「絞り値伝達」の方法が、
「カニ爪」(または「豚鼻」)から、Ai方式(絞りリングの段差)
へと変更されたからです。

Ai方式への変更は、Nikkorレンズ史上でも、最も大きい変革の1つですが、
その次のステップである「Ai-S化」は、
実は、それ以上の意味合いを持っていたのかもしれません。

というのも、現在の「Gタイプ」のNikkorレンズに引き継がれる、
「ボディ側からの絞り値制御」を最初に実現したのが、
Ai-S方式への進化だったからです。

先ほどのサイトに、Ai-S方式についての詳細の図説があります。
まずはそちらをご覧下さい。

それまでは、絞り値を決めるのは「人間オンリー」であり、
レンズ根本の絞りリングを回して、
適当な絞り値を決めて撮影しておりました。
これは、マニュアル撮影でも、絞り優先AE(EE)でも同様です。

つまり、カメラボディの方から「絞りF5.6で」という命令を、
レンズ側に伝える手段は皆無だった、という事になります。

※それを「強引に」実現したのはNikon F2で、
EEコントロールユニットDS-1を使うと、
ボディ側が、適切な絞り値を、「実際にレンズの絞りリングを、モーターで回す」
という力業な方法で実現しております。
逆に言えば、それ以外に方法はなかった、とも言えます。

70年代も末になると、
シャッター速度優先AEや、プログラムAEの需要も増えてきたため、
「ボディ側から絞りを制御」する術を用意する必要に迫られてきました。

そこで開発されたのが「Ai-S」方式でした。

そもそもFマウントでは、
カメラが、レンズの絞りを作動させる(絞る)動作をする場合、
レンズマウント向かって右
(カメラのマウントであれば、向かって左)にレバーがあり、
それを「下ろす」事で絞られるようになっています。

レンズをカメラに装着していない時点では、
レバーはバネの力で「一番下」になっており、
その状態で絞りリングが開放以外になっていれば、
絞りは「絞られた状態」になっているはずです。

これをカメラに取り付けると、
本体レバーによってレンズ側レバーが押し上げられて、
絞りが開放状態になります。

シャッターボタンを押してシャッターを切る時に、
カメラ側レバーが降りるので、レンズ側レバーも降りて絞られるわけです。

この「レバーを下ろす=絞りを絞る」の動作は、
初期Fマウントでは「一番下まで下げる」の動作のみを行います。

絞り値はレンズ側の絞り輪で指定しているわけですから、
カメラボディ側は、何の遠慮もなく、レバーをめいっぱい下げてしまえば、
後は適当な絞りまで絞られるだろう、という事なわけです。

この、レバー上下で絞りが開け閉めされる機構を活用し、
例えば「絞りレバーを半分まで下げる」など、
いわば「寸止め」的に制御できれば、
当然、絞りは「途中までしか絞られない」事になります。

これが、Ai-S化によって導入された「絞り制御」の要なわけです。

後に、AF化されたNikkorレンズでは、
電子接点が搭載され、
多くの情報は電子によってやりとりされるようになりました。

しかし、絞りの制御に関しては、引き続き
「絞りレバーの上げ下げの具合」によって行う、
という方式が受け継がれております。

実は、今のDXでGタイプなNikkorも、
Ai-SシリーズのNikkorも、
根本的かつ最も重要な「絞り値の制御」の部分に関しては、
全く変わらないまま現在に至っている事になるわけです。

そこで、タンポポチップの登場です。

Ai-Sタイプが決定的に現在のレンズと異なる点は、
カメラとレンズの交信のための電子接点がない事です。

レンズの開放F値、最小F値、焦点距離など、
必要な情報の多くが、電子接点によって受け渡されています。

それが無いから、現在のDシリーズでは、
Ai-S式のレンズであっても、フル機能を生かす事が出来ません。

その「足りない」部分を補ってくれるのが、タンポポチップ。

さすがに「被写体までの距離」までは情報として伝わりませんが
(場合によっては、被写体までの距離と絞り値の両方の情報に基づき、
AF合焦時のポイントを前後に微調整する場合があります)、
最も基本的な「開放絞り値」「最低絞り値」「焦点距離」の情報は、
正しく設定されたタンポポチップによって本体に伝達されるわけです。

実は、このような「電子接点付きのAi-Sレンズ」というものを、
ニコンはいくつか商品化しています。

代表的なのは「Ai Nikkor 45mm F2.8P」で、
FM3A発売時に標準レンズとして発売された「パンケーキレンズ」です。

このレンズは薄型であり、MFカメラの標準レンズである事から、
AF Nikkorとしては発売されませんでしたが、
電子接点はついており、
AF搭載のニコンのカメラに取り付ければ、
「AF以外」の全機能を生かす事が出来ました。

タンポポチップも、言ってみれば
「Ai-P化」するチップである、とも言えます。

なのでごっさんは、テストで取り付けたAi Nikkor 35mm F2Sの事を
「Ai-P(改)」、と呼ぶようにしよう、と思っております。

文字ばかりでつまらんかったかもしれませんが、
大事なポイントなので説明させて頂きました。

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