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2011年3月 7日 (月)

幻?のAcall 180mm F3.5は実力派レンズ

Imgp5407acall

なにげなくヤフオクを覗いておりますと、
「Acall 180mm F3.5」というレンズが100円で出品されておりました。

「えーこーる?聞いたことあるなぁ。何だったっけ・・・」

調べてみますと、今をはるか50年近く前のレンズで、
「協栄光学」という会社が作ったレンズでした。

この会社を立ち上げた人は、
元々、「コムラー」で知られる三協光機にいた人で、
35mm F3.5などの鏡胴を持ち出して、
新会社でも同じレンズの銘柄違いを発売した・・・、
というような逸話がネット上に散見されますが、
当時のことは存じないので、事の次第はよく分かりません。

ともあれ、これは何やら楽しそうなレンズ、と思い、
落札してみました。

で、届いたレンズを手にしてみた感想。

「美しい・・・」

Imgp5394acall

元々がこういう色なのか、経年で変わってしまったのか、
定かではないですが、少なくとも現状に関しては、
少しグレーがかった光沢のある鏡胴、
今風に言えば「チタンカラー」「メタルシルバー」の輝きです。

開放が明るめ(当時)のレンズだけあって、
光量を稼ぐために前玉が非常に大きく、
アタッチメントは62mm径もあります。
そのため、タンブラーか、はたまたキノコか?、というような出で立ちで、
異彩を放っています。

届いたレンズの状態は、
各ガラスの表面(内部も)に掃除した跡が盛大に残っていたので、
まずは徹底分解して清掃に着手。

あのコムラーの派生で、しかもプリセット絞りのレンズなら、
本体絞れば分解できるんじゃないか・・・、と思ったら案の定で、
えい、えい、った2回ほど「ぞうきん絞り」してやると、
鏡胴が「前・中・後」の3つの部分に分離できました。

「前」に重たいガラスが3枚(多分)入っていて、
「中」には絞りと、最後面が1枚、
「後」は、ヘリコイド部分となります。

ガラスはほぼ全てばらせたので、それぞれ拭き掃除
(古いレンズはコーティングが痛みやすいので、
毎度おなじみ、ピップの「ベビー綿棒」にて清掃。)

元通り戻して、これで完成・・・、と思ったんですが、
さて試写、と思ってカメラにつけてみると、何やら様子がおかしい。

どえらいオーバーインフなのです。
∞位置では、ボケボケで何が何やら、分からないくらい、
そこからエイエイとヘリコイドを回していくと、やっと∞が合いますが、
もう最短撮影距離まで後少し、という程。

これは、ヘリコイドの調整、なんて問題ではなさそうだ。
まさか、またあの症状が・・・

以前、Yashinon-R 20cm F4.5を整備した時の事を思い出しました。

あの時も、いざ組み立てて試写しようとしたら、
えらくピントがずれて、オーバーインフになってしまったのです。
で、原因は、最後面のレンズを前後逆にしてしまっていた事。

今回のAcallも、Yashinon-Rも、
焦点距離や開放F値は異なりますが、レンズの構成自体はほぼ同じ。
いわゆる「エルノスター型」のように見受けられます。

どちらのレンズも、最後面(とは言っても、レンズの真ん中あたりにある)は、
凹凸レンズでありながら、それぞれほぼ平面か、と思う程のわずかな曲率。

で、定石であれば、凸になるのは前方、被写体側になり、
一方凹の方は、マウント側になるはずです。

しかし、バラしたAcallは、それが逆になっておりました。

試しにこれをひっくり返して組み上げ、カメラに装着してファインダーを覗く・・・

おお!見事に∞が出ました!

あの時に、Yashinon-Rをバラした時の失敗が、こんな時に役に立つとは!

レンズの掃除のついでに、動きの悪かった絞りも清掃。
汚れを落として、一部に軽くグリスも塗って(決して絞り羽根自体に塗ってはいけない!
あくまで可動部分の一部です)、こちらも快調に。

って事で、試写してみました。
ネットでは「癖玉」との感想も散見されましたが・・・

Imgp537101
PENTAX K-7
Kyoei Optical Acall 180mm F3.5
1/1000秒 F3.5開放 (ISO100)
2011年3月4日

生け垣を、絞り開放で撮ってみました。

もう、どこまで吸い込まれていくの、という、
見事なまでのボケっぷりですね!
F3.5で撮った、とは思えない程の被写界深度の浅さ。

Imgp538001
PENTAX K-7
Kyoei Optical Acall 180mm F3.5
1/3200秒 F3.5開放 (ISO100)
小田急 喜多見駅
2011年3月4日

この日は、喜多見駅から富士山がよく見えました。

これも、絞り開放で撮った写真で、富士山に(完全な∞に)ピントを合わせて撮りました。

オールドレンズで絞り開放と言えば
「ボケボケでピントの山分からず、フレアも酷くて使い物にならない」
というイメージがつきまといますが
(まして、コムラーの派生品となると尚更・・・)、
このレンズ、1400万画素の等倍でも充分な解像度でした。

Imgp549801
PENTAX K-7
Kyoei Optical Acall 180mm F3.5
1/500秒 F4.0 (ISO800)
京王井の頭線 東松原駅
2011年3月6日

今日撮影した井の頭線の写真から1枚。
次回以降に紹介予定の写真から、先行公開です。

こちらは半絞りだけですが絞って撮ってみましたが、
もうこれだけでも、充分「普通な」写りのレンズになります。
また、背景に光源が無いので、
ボケの特徴があまり出ておらず、
その分、ごく普通な写真になっていますが、
それだけちゃんとした実力を持っているから、とも言えます。
欲を言えば、もう少しシャドーがしっかり出れば
(俗に「コントラストが高い」とか言いますが)、
と思いますが、RAWで撮ればRawshooterで解決できる範疇です。

なお、今回競り落としたレンズは、
珍しく純正フードもついておりました。
この井の頭線の写真では、フード付きで撮影しましたが、
家の近所で試写した時はフード無しで撮影し、
少しでも逆光の条件だと、画面全体が真っ白になる程の、
強烈なフレアに襲われてしまいました。
その辺りは、さすがにオールドレンズだけに、
扱いには充分注意する必要がありそうです。

Imgp5405acall

とはいえ、これだけ「そそられる」レンズも珍しく、
今日の井の頭線の撮影でも、かなりワクワク感を覚えました。

M42スクリューマウントのレンズで、200mm域のものは、
これで4本目になってしまいますが
(残りは、Takumar 200/4、Yashinon-R 20cm、Petri 200/3.5)、
今回のAcallは、ちょっと焦点の短い180mmである事、
開放での描写に特徴がありつつも、
画が破綻するようなじゃじゃ馬なレンズでもない事など、
充分「使える」レンズだと分かりました。

あまり目にすることのない貴重なレンズであるだけに、
こうして「現役」で使ってやれるのも、なかなか楽しいものです。

K-7で撮りに行く時に、
「今日の200mmは何にするかなぁ」と悩むべき玉が、
また1つ増えてしまいました。

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