フジ「HD-R」のレンズは、噂を飛び越し驚愕の写り
前回のエントリで、何枚かの写真だけアップして、
さて何のレンズで撮ったでしょう、といじわるをしてしまいました。
もちろん、世の中には優秀なレンズがごまんとあります。
それこそ、今回撮影したNEXには、
先日、Carl Zeiss Sonnar T* E 24mm F1.8 ZAが発売されて、
その圧倒的な描写力と(Zeissとしては)リーズナブルな価格で、
予約しても買えない程の人気を集めておりました。
恐らく、この24mmでも、この程度の描写は約束されたものだと思います。
しかし、「カネを出せば良いレンズが買えて、いくらでもいい写真を撮れる」
なんてのは、ごっさん的には全然おもしろくないのであります。
(ビンボーのひがみ、とも申しますが…)
じゃあ、一体何で撮ったかと申しますと…
じゃ~~~ん!
また、何だか無茶な事をやってしまいました(笑)
この、ちょっと心許なくなるような小さなレンズで、
前回のエントリの写真を撮影しました。
これは、「Fujinon 38mm F2.8」というレンズです。
38mm、という焦点距離を見れば、
あぁ、これはコンパクトカメラのレンズだろう、
と察しが付く方も多い事でしょう。
これは、富士フイルムが発売していたカメラ、
「HD-R」に取り付けられていたレンズなのです。
レンズをくり抜かれて、何とも「あられもない」姿になっていますね(笑)
この「HD-R」を始め、「HD-M」「HD-P」など、
フジの「HDシリーズ」と言われるカメラは、
簡易防水や生活防水など、
過酷な条件でも対応できるカメラとして人気がありました。
後に、コニカが「現場監督」を発売したので、
お株を奪われてしまった感がありますが、
HDシリーズは70年代末の「HD-1」以来の伝統があり、
派生型の工事用カメラ「K-28」は2000年代まで製造されていたようです。
この、HDシリーズに搭載されている38mm F2.8は、
非常に写りの良いレンズとして知られていました。
とはいえ、コンパクトカメラの単焦点レンズで、
「隠れた銘玉」が多いのは、フジに限った話しではありません。
なので、当初はそれほど気にもしてませんでした。
このHD-Rも、300円かそこらでジャンクを買って、
だけど液漏れが酷くてメンテナンス不可と判断し、
すっかり放置していた個体でした。
しかしその後、写真仲間がこのHD-R(M)で撮影した画像をいろいろ見てて、
「いや、これは単なる『なかなか良く写る』レンズなんてシロモノじゃ無い」、
と気づき始めて、それじゃあ、と一念発起して、NEXマウント化を実施してみました。
NEX化するにあたっては、ジャンクの「NEX-CONTAX G」のアダプタがあったので、
それを分解し、マウント基部のみ利用。
そこに、プラ板を切って挟んでピントが合うように調整しました。
更に上から、光線漏れをしないように、
隙間という隙間をパーマセルテープで覆いまくって、
出来上がったのが、1枚目の写真。
何とも「変態」仕様だな、と我ながら呆れます(汗)
でも、操作性は意外といいです。
剥き出しになったレンズの枠に指をかけると簡単に回るので、
ピント調整も非常にスムーズで、かつ、正確です。
NEX用のレンズは、折角の小型ボディが台無しだよ、
と思える大型レンズが多いですが(純正の16mmなど例外はあります)、
この自作レンズだと、その16mmとほぼ同じ長さなので、
「レンズにボディがぶら下がっている」ような不自然さもありません。
コンデジ感覚で気軽に持ち歩ける大きさ、重さです。
絞りは、本来は「シャッター兼絞り」になるので、
レンズだけでは「開放」の撮影しか出来ません
(前回エントリの中の、東急5000系とあじさいは、絞り無しの絞り開放)。
そこで、後玉に丸くくり抜いたパーマセルを貼って「絞り」にしてます。
これも、前回エントリの写真で言うと、
ネコや「ホタルが~」と書いてあるのは「F6.3」相当、
少し丸を大きくして「F5.6」相当にしたのは一番下の2枚。
目下は、その「F5.6相当」が常用になっています。
絞り開放だと、さすがに周辺画像に「やや」甘さや流れがありましたが、
2段絞った「F5.6相当」だと、全体に均質でシャープな写りになりますし、
その状態でも、寄れば綺麗にボケるので立体的な写真になります。
正直、この「見た目悪し」のレンズ、非常に気に入っています。
当初、NEX用の標準レンズとして、
シグマの19mm F2.8を買おうか、と思っていましたが、
当面、その必要もなさそう、と思える程です。
改造してNEX化、はさすがに面倒だと思いますが、
「HD-R」や「HD-M」は非常に良い写りのカメラですし、
見た目が「こんな」なので値段も安いですから、
お近くのカメラ屋で安く売っていたら、是非買って撮ってみて下さい。
フィルムでも、その「圧倒的」な写りは実感できると思います。
※個人的には、HDシリーズ初代「HD-1」のグリーン仕様を見つけたら、
一も二も無く買い求める気がします(笑)
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