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2012年11月16日 (金)

Jupiter-12にフードを付けて、芝浦~海岸通を

第二次世界大戦後、独カール・ツァイスの技術者および製造施設が、
ソヴィエトによって「接収」され、引き続きソ連にて製造が行われました。
「ツァイス・コピー」と言われるレンズ群は、
ソ連崩壊後の90年代まで、大きな設計変更も無く製造が続けられ、
本家ツァイスにすら残らなかったような「戦前のツァイスの魅力」を残し、
日本でも一時マニアの間で静かなブームになったものです。

「LZOS(リトカリノ光学ガラス工場)」社製のJupiter-12こと、35mm F2.8も、
元は、戦前広角レンズの銘玉・ビオゴンをコピーしたものとして知られています。
いまでも「木星珠」の愛称で親しまれる銘レンズです。

後玉が非常に出っ張っていて、しかも幅もあるので、
一部を除いてデジタルカメラへの装着は物理的に不可能、
また、ついたとしても、「デジタル向き」の後玉ではないので、
フィルムで撮る時ほどの力を発揮しないレンズでもあります。

さて、このJupiter、割と鏡胴内部にレンズが収まっているので、
鏡胴自体がフード代わりになるかな、と思ったら大間違いで、
かなりの確率でゴーストやフレアが出てしまいました。
実際、純正でも、かなり大きなフードが用意されていたようなので、
このJupiterにも付けてやろうか、と探してみました。

Dsc4203

ヤフオクで、大きさもデザインも、丁度あってそうなのを発見。
個人が輸入販売しているのか、他に同様のを見たことがありません。
こちらのアカウントで購入しましたが、
これを執筆時点では、Jupiterで使える40.5mm径のものはなく、
37mmなど、より小さいものだけが出品されています。
気長に待てば、40.5mmもまた出てくるかもしれません。

Dsc4208

純正フードは、写真で見る限り、より大きい物だったようなので、
このサイズで「ケラれる」事はなかろう、と思われましたが、
試写してみたところ、全く心配には及びませんでした。
また、フレア等もほぼ見られなかったので、
「ハレ切り」の効果も充分にあったものと思われます。

あまり大きいフードにしたくなかった理由の1つは、
ファインダーを覗いた時に、ファインダー像右下が隠れてしまうから、
という理由もありました。これでも若干隠れてしまうのですが、
撮影に支障がある程ではないように思われます。

Dsc4212

いざフードを付けて気づいた「いい所」は、
そもそも、鏡胴内部に奥まっていて回しにくい「絞り」のリングが、
フード・フィルターのアタッチメントと直結しているため、
フードを付けると、フードを摘まんで回す事で絞りの調整が出来る事です。
いくらなんでもあれじゃ、絞り動かしたく無くなるよなー、と思ってましたが、
そういう理由があったわけですね。

近頃、なかなかノンビリ機材担いで撮影に、とはいかないので、
レンジファインダーのカメラにこのレンズ一本を付けて、
ふらふらと散歩の延長で撮影、という機会が多く、
その時はいつも、交換レンズも持たず、Jupiterのみで撮り歩いています。
結構楽しんでおります。

以下は、Fotokemikaの「efke KB25」にて撮影した画像です。
10月に、勤務先の会社が三田に引っ越し、
この芝浦近辺もよく散歩するようになったんですが、
それは終業後の話し。
昼間に同じ所にくると、また違う景色が堪能できました。
おかげで、フィルム一本36枚じゃ足りず。また来ないと。

*2012/11/24追記:
フード(ないしフィルター)をちょっときつめにつけてしまうと、
外す時に、鏡胴内部まで一緒に回り始めてビビってしまいました。
元々ソ連製なのでネジの精度もあやしいでしょうから、
無理に奥まで綺麗にはめようとすると後々面倒になりそうですから、
落ちない程度にそこそこ嵌めておけば良いだろう、と思われました。

121110_14

121110_20

121110_26

121110_29

121110_32

Leica M2
LZOS Jupiter-12 35mm F2.8
Fotokemika efke KB25
2012年11月10日

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コメント

KARIRI様

いつもご覧頂きありがとうございます。

クローム鏡胴の個体は使った事がないので詳細は不明ですが、
「真ん中にだけフレア」という現象の場合、
内面反射が原因の可能性があるかな、と推察されます

先日ある実験にて、マクロレンズに接写リングを多段で重ねて、
超マクロを試していたところ、接写リングの内面反射により、
画面の中心部が真っ白になる、という症状を確認したばかりだったからです。

その場合、レンズ真正面から入ってくる光よりは、
斜めから入ってきた光の方が、
レンズないしボディの壁面に当たって反射をおこすはずなので、
その可能性が高いように感じられました。

例えば、お使いのレンズに「コバ剥がれ」
(レンズ側面に、反射防止の黒い塗装をしてあるものが、
経年等の理由で剥がれてしまっている)
が発生している可能性も、あるのかもしれません。

斜光からの内面反射は、フードによりある程度防げると思いますので、
まずは、例えば手元にあるフードをテープ留めするなどして効果をみて、
フレアが減りそうなら、良さそうなサイズのものを買い求める、
という事ではいかがでしょうか?

当方の、こちらのフードによる効果については、
厳密に比べたわけではないですが、
「効果あった」ものと実感しております。

しかし最近は、Nokton35/1.2を買ってしまい、
少々出番が減っているのが正直なところです(汗)

投稿: ごっさん | 2013年3月24日 (日) 22時09分

お久しぶりです。
以前Nikkor 180EDやピカイチの件で
書き込みさせていただいた者です

此方の記事を見まして、
このレンズも購入してしまいました(笑

こちらの購入したのはクローム仕上げの固体で
私はゾルキーにつけておりますが、
やたらめったらフレアが出ます(汗
しかも画面のど真ん中「だけ」に(汗汗

不思議なのは太陽に向かって撮るよりも、
太陽が横にあるときのほうがフレアが大きいです。

実はコンタックス用も持っているんですが、
こっちは同時代のクロームでありながらフレアは
あまり出ません。コレは固体差なのでしょうかね?


で、宜しければ教えてもらえるとうれしいのですが・・・
①フレアの出具合
②フードの効果


以上2点、どんなものでしょうか?
宜しければ教えていただけますと幸いです。
宜しくお願い致します。

投稿: KARIRI | 2013年3月24日 (日) 04時00分

遠路はるばる?コメントありがとうございます。
収穫はございましたでしょうか…。

例の「キエフのキエフ」ですね。整備前にこっそり見せてもらいました。
初期型のようなので、より「昔のツァイス」っぽい写りなんじゃないか、
と期待出来ますね。
ただ、Jupiter-12は「当たり外れ」のあるレンズの様です。
よく写るといいんですが。

Jupiter-12は、いくつかの工場(会社)で製造されていたようです。
こちらに情報が載ってました。
http://www.mars.dti.ne.jp/~cianmore/KIEV2-4/kiev-lens.html

efkeの25、今回1本使って、残り6本となりました…。

投稿: ごっさん | 2012年11月16日 (金) 23時00分

情報ありがとうございます
自分も持ってます
あれ、自分のと形が違うぞとおもったらキエフマウントでした
フードも違うかも知れないですね
良いレンズだろうからもっと使ってあげないと〜

投稿: M | 2012年11月16日 (金) 14時57分

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