Nikkor-S Auto 50mm F1.4の内部構造も違っていた件
■Ai Nikkor 50mm F1.4の内部構造が違っていた件 (2009/2/9)
3年前のエントリです。
見た目ほとんど同じ「Ai Nikkor 50mm F1.4」をばらしてみたら、
えらく中身が違ってました、という内容。
ちなみに、2本とも、もう手元には無く(汗)
生産台数の多いレンズですから、
同世代のものでも、設計変更で中身が変わる、
という事があっても、決して珍しくはないんですが。
今回は、同じ50/1.4の古い世代のレンズ、
「Nikkor-S Auto 50mm F1.4」についてです。
右上の「Nikon F Photomic Tn」と、その付属の50mmは、
前々職の先輩から、メンテ依頼にてお預かりしているもの。
こちらの方が、古い世代のレンズになります(S/Nは47万台、66~67年頃製)
一方、左下の「Nikon F」についているのは、自分の50mm。
こちらは、より新しい世代になります(S/Nは83万台、70年前後製)
パッと見た目は、ほとんど変わりません。
しかし、マウント側をみると、えらく違います。
右が、お借りしている古い方、左が、より新しい自分の方。
※こうして見比べると、コーティングが全然違いますね。
古い方は黄色っぽい、いわゆるアンバー系のコーティング。
新しい方は紫っぽい、パープル系のコーティング。
紫というとマルチコートっぽいですが、
Auto Nikkorのマルチコート世代のレンズは「.C」が付きますので、
更に新しい年代のレンズになります。閑話休題。
見比べてみると一目瞭然。古い物は、ネジがありませんね!
一瞬、「えっ!?」と思いました。
だって、レンズをバラすなら、まずはマウントを外すのが定石。
マウントを外せないとなると…。
じゃあ、前から?と思って頭を悩ませてみましたが、
どうしても「そうなるはずがない」。さて、なんでだろう。
と思っているうちに、一つの仮説が浮かんできました。
「絞りが先に取れるのでは?」
もし絞りが取れるとすれば、絞りそのものが「ネジ込んである」のかも、
と思い立ちました。
絞りリングに刺さっているネジを一つ外し
(リングで設定した絞り値を、内部の絞り機構に伝えるもの)、
絞りリングをクルクル回し始めると…、
回って回って回って回る~~~♪
やはり、でした。絞りリングそのものが、
「非常にピッチの細かいネジ」によってネジ込まれていたのです。
て事は、絞りを「1.4~16」にコリコリと回す動作は、
実はネジを「締める、緩める」の動作を、非常に短い距離で行っていた、
という事になります。
こんな固定の仕方があるとは!、と新しい発見でした。
一方、「ありふれたネジ止め」に見える、左側の新世代。
かなり固いマイナスネジを順に回していきましたが、
向かって「一番下」のネジが、どう頑張っても回らない。
親の敵!、と思って回そうとしてもダメ。
なんで?と思いつつ、少しマウント爪を触ってみると
「グラッ」
あれ?もう緩んでる?もう取れる?
で、引っ張り上げると、スポッと抜けました。
(改めて)なんで?と思って、マウント面を裏から覗くと…、
その「どうしても取れなかったネジ」の裏には、
棒が一本伸びていて、そこにスプリングが固定されてました。
そのスプリングは、絞りレバーに繋がっており、
絞りを動作させるための役割を担ってました。
つまり、他のネジに比べて「より一掃固く」固着されていたわけです。
どうりで、最大限踏ん張って回そうとしたところで回らないはずです。
「マウント面のネジは、一通り外さないと、マウントは外れない」
という常識が通用しないレンズも初めてで、これも新発見でした。
他にも、バラしていくと、「こっちはこうなのに、あっちは違う!」
という部分が散見されました。
Nikkor 50mm F1.4の分解方法だけで、
一冊の本が出来て、しかも何章立てにも分けられそうな勢いです。
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コメント
そんなコメントがあったと忘れてた鳥頭もここに一羽(汗)
投稿: ごっさん | 2013年5月 8日 (水) 21時06分
同じような記事に同じような返信をしてしまう鳥頭ならここにいる('、3_ヽ)_ いっそ一思いにやってくれ(←
投稿: gochi-zoh | 2013年5月 8日 (水) 20時24分
明かな見た目の違いでの検証はいくらでもあるけど、
中まで見た上での、ってなると、あまりやらないだろうな、って気がする。
ニコイチにするつもりでジャンク買ってきたら、
微妙に形が合わなくて直せなかった、って経験は、
他のカメラなんかでも結構やってるから、
細かく検証し始めたら、いくらでも出てきそうではあるんだけどね。
投稿: ごっさん | 2013年5月 5日 (日) 20時50分
ああ、こういうの色々あるよな・・・
MINOLTA-AF 75-300/4.5-5.6(初代)を、3本から2本組み上げたことがあるが
前玉の固定方法はおろか、ヘリコイドにすら互換性がなくで吃驚したことがある。
相互互換を当て込んで本数揃えたのに・・・
高度にモジュール化されつつあった、前近代的なAFズームレンズですら、これだ。
この時代のレンズなら、生産効率化等のための構造設計そのものが「試行錯誤の連続」だったに違いない。
投稿: gochi-zoh | 2013年5月 5日 (日) 20時23分