富士フイルムが、ピールアパート式(引き剥がし式)のインスタントフィルム、
「FP-100C」の生産中止を発表しました。
インスタントカラーフィルム「FP-100C」販売終了のお知らせ
ポラロイドが2008年に破綻して、全てのインスタントフィルムの生産を終了。
一部は「Impossible Project」に引き継がれましたが、
ピールアパート式(Poraroid 100)については在庫販売のみ引き継がれ、
引き続いて製造される事はありませんでした。
一方、富士フイルムが製造していた互換フィルムは生産が継続されたので、
こうして2016年になるまで、「ポラロイドフィルムを使用するカメラ」
で撮影できる恩恵を受ける事ができました。
とはいえ、需要は減少の一途を辿ったわけで、
ピールアパートのラインナップも、
「FP-100B」「FP-400B」と低感度モノクロが早々に製造を中止し、
また、近年、高感度モノクロフィルム「FP-3000B」も製造が中止され、
最後に残ったのが低感度カラーフィルム「FP-100C」でした。
まぁ、これも風前の灯火だろうな、と思っていたので、
今回の発表も、特別驚く事はありませんでした。
でも、ここ5年程、いろいろインスタントフィルムのカメラを試した中でも、
「RB67で撮影するピールアパート」の写真に強く魅せられていたので、
それもとうとう「撮影不可能」になるのか、と思うと、
淋しく、悲しい気持ちを禁じ得ません。
という事で、「撮り収め」に行く事にしました。
カメラはもちろん、マミヤのRB67+ポラバック。
そもそも、「ちゃんとしたポラ」を撮りたくて買ったのがRB67でした。
本来の目的を失う事になるのは、とても残念な事です。
久しぶりに都心の風景を撮りたく、まずは水道橋で降りてみました。
猿楽町に行くと坂(というか階段)があると聞いて、
あれ、こんな所に高低差あったんだっけ…、という驚きがあって、
この目で見たくなったからです。
水道橋駅で降りて、先に少し飯田橋寄りに歩いてみると、線路の袂に桜の木が。
桜、とは言っても、今日やっとソメイヨシノの開花が宣言されたところなので、
違う種類の桜だとは思うんですが。
場所に立ち、レンズを変え、構図を決め、露出を決め、ピントを決め…、
一つ一つの儀式を終え、電車が来るのを待って、レリーズを切る。
そこから更に、現像タイマーをセットし、(少し肌寒かったので)ウォーマーを暖め、
ポラバックからエイヤとフィルムを引き抜いて、ポケットで暖める事約3分。
少しずつ印画紙とフィルムをペリペリ剥がすと、今撮ったばかりの写真が、
印画紙上に表れている、インスタントならではのワクワク感。
Mamiya RB67 Professional S
Mamiya Sekor C Zoom 100-200mm F5.2 W (120mm)
1/60秒 F8.0
Fujifilm FP-100C SILK
JR中央線 水道橋-飯田橋間
2016年3月21日
1コマ目から「お、なかなか」といい感じ。
木の形と、正方形のフォーマットが良い相性でした。
その後、猿楽町方面に向かう道すがら、
後楽園らしい風景をバックに中央線。
Mamiya RB67 Professional S
Mamiya Sekor C Zoom 100-200mm F5.2 W (100mm)
1/250秒 F8.0
Fujifilm FP-100C SILK
JR中央線 水道橋駅
2016年3月21日
テレビ東京のドラマ「東京センチメンタル」を観ていると、
「神保町」の回で、何やら階段を散歩する場面が映って、
あれ、あの辺に階段のある高低差なんてあったかな?、
と思って調べてみると、猿楽町に「男坂」「女坂」と、
大きな階段がある事が分かりました。
「女坂」の足下に小さな石碑があったので1枚。
Mamiya RB67 Professional S
Mamiya Sekor C 50mm F4.5
1/400秒 F5.6
Fujifilm FP-100C SILK
2016年3月21日
桜が開花したらしい、というニュースを見て皇居の方まで足を伸ばしました。
千鳥ヶ淵のお堀の向こうに東京タワーが見えるから…、
と思って撮ってみたら、ハイライトで飛んじゃってタワーがよく見えない。
この辺のデリケートさも、インスタントの良いところ?です。
Mamiya RB67 Professional S
Mamiya Sekor C Zoom 100-200mm F5.2 W (200mm)
1/125秒 F8.0
Fujifilm FP-100C SILK
JR中央線 水道橋駅
2016年3月21日
たった4枚で撮影を切り上げて帰路に。
そういえば、渋谷駅の改良工事はどうなったかな…、
と思って立ち寄ると、あのビルもこのビルも壊されててビックリ。
変わりゆく渋谷の様子を収めておこう、ともう1枚。
Mamiya RB67 Professional S
Mamiya Sekor C 50mm F4.5
1/400秒 F5.6
Fujifilm FP-100C SILK
2016年3月21日
1日で、たった5枚の撮影。
デジタルのご時世、「今日は1000枚撮りました」
みたいな事を武勇伝?のように言う人には、
是非一度、はかなく貴重なフィルム撮影を体験して頂きたいところですが、
それももう叶わなくなる時代となってしまいました。
1本10枚撮りのフィルム、5枚撮影して、残り5枚。
また近いうちに、本当の撮り収めをして、「後篇・完」をアップしたいと思います。
(バシャッ、と撮って、ピーッと引っ張り出して、ジーッと待つ、
というあの行程、最後はビデオに撮って残しておきたいと思います。)
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