Canon TV PHF 35mm F1.2 EA をマイクロフォーサーズで
6月にブログが10周年を迎えて以降は、
池上線と多摩川線の写真を2度ほどアップしたばかりで、
ほとんど更新もないまま、早い物で11月です。
撮影に行くことも、ジャンクなレンズを買う事もめっきり減って、
最近はもっぱら、ハードオフのジャンクコーナーで、
100円のレコードをむさぼってきては、
定番のクリーナー「バランスウォッシャー」でカビを綺麗にして、
ビートルズにS&G、井上陽水に中島みゆき、
果ては藤山一郎、村下孝蔵、パーシー・フェイス、セルジオ・メンデス、イヴ・モンタン…、
とあれこれ聞きまくるのが楽しみになっております。
また、かつて存在したクラシックの通信販売レーベル「コンサートホール・ソサエティ」
のジャケットに惹かれて、やたら買い集めたりもしております。
いずれ、機会があればその辺りの話しも…。
つまり、ハードオフに通う事をやめたわけではない、
というかむしろ回数は増えている(笑)わけですが、
カメラやレンズのコーナーはサクッと2,3分程度見るだけで、
後はレコードコーナーに1時間とか2時間、という事になってるわけです。
そんな2,3分の巡回の折り、ふと変わったレンズが目に入りました。
さすがに経験が長いと、一瞬で珍しいモノを目ざとく見つける特殊能力が身につきます(笑)
図太い筐体、絞りを制御するとおぼしき一本のケーブル。
レンズ名は「Canon TV Lens PHF 35mm F1.2 EA」とあります。
マウントは、小型のネジマウント「Cマウント」でした。
手動で絞りを動かす事は全く出来ません。
EAとは、きっとエレクトリック・アイリスの略でしょう…、
と思ったら、アイリスの英語は「Iris」でした(汗)
なんじゃこりゃ、と思いましたが、500円だからダメモトで買ってみるか、
と思い、久しぶりにジャンクレンズのお持ち帰り。
これまで100本を超えるであろうレンズをバラしてきましたが、
今回はかなり特殊な匂いがします。
とりあえず、バラせそうなところからバラしていきますが、
案の定、中身は見慣れない基盤やら配線やら。
ズームレンズではないので、
ケーブルは絞り制御信号のやりとりだけですから、
そう凝った中身じゃないだろう、と思ったら大間違いで、
抵抗やらコンデンサやらがいくつも付いた円形の基盤が内蔵されていました。
ICチップが無いわけではないですが、
絞り制御程度?でこの仰々しい基盤なので、
割と古い時代のレンズなのでは、と推察されます。
レンズは割と汚れていたので、何はともあれ清掃しなきゃいけませんし、
何より、絞りが閉じきったままだったのをこじ開けないといけませんから、
絞り付近までバラして辿り着いてみると、何やら様子がおかしい。
あきらかにガラスじゃないものが入っています。
しかも、真ん中が黒く塗りつぶされています。
目的は定かでは無いですが、
周辺光量不足を解消するために中心部だけ暗くしようとしているのか、
はたまた、監視カメラ用のレンズだと思われるので、
センサーを守るためにNDフィルターの役割をさせているのか?
ともかく、撮影の上では邪魔でしかなさそうなので、
遠慮無く撤去させて頂きました。
絞りも無事「全開」に出来たところで、
さて、マイクロフォーサーズのカメラにつけてみるか、
と思ったところで、そういえばCマウント→MFTのアダプタ、
まだ買ってないじゃん、と気づきました。
もうとっくに持っていたような気になってました。
ヤフオクで安いものを色々物色しましたが、
なるべくレンズ側の突起がなかったり、内側の窪んだところが広かったり、
といったものを選んで買ってみました。
じゃないと、Cマウントのレンズの場合、
MFT用のアダプタではマウント付近が干渉して付けられない事も多いからです。
届いたアダプタにレンズをつけてみますと、
ほとんど奇跡的といいますか、
マウント周辺がわずかに出っ張っていたおかげで、
ちゃんと最後までネジこむ事ができ、無限遠も出てくれました!
取り付けてみると、これが「Cマウントのレンズ」
である事を忘れてしまうような、違和感の無さです。
絞りは電気信号制御なので、マニュアルでは操作できません。
無限調整でセンサーを通した映像を見る限り、
開放でもちゃんとした画になりそうに思われたので、
「電気的絞り制御」はまた後々の課題として、
まずは「開放のみ」のレンズとして組み上げ、メンテナンスを完了。
さて、写りはどんなものやら、とLumix G5に取り付けて試写してみました。
なんせ「F1.2開放限定」なので、G5の最低感度(ISO160)でも、
晴天下では露出が大幅にオーバーしてしまいます。
正規に運用するならNDフィルター必須だろうなぁ、と考えながら、
影を選んで被写体を選んで試写。
世の中、「F1.2開放」なんてレンズは、
だいたい「2段くらい絞らないと甘々で、ピントもよく分からない」
なんて物がいくらでも存在しますが、
このレンズはそんな傾向は皆無で、
むしろ、「中心部を拡大して精密なピントあわせを」
なんて事をせずともちゃんとピントを合わせられます。
まともな一眼レフ用のレンズでも、
そこまでちゃんと解像度のあるレンズはなかなかありません。
とはいえ「F1.2」ですから、このグルグルボケです(笑)
元々が、4/3型なんて大判センサーでの利用を考えてないレンズのはずで
(おおむね、1/2型とか、2/3型、大きくても1型まででしょう)、
周辺部の描写は設計外な部分です。
ちなみに、本来MFTはアスペクト比が「4:3」がデフォルトですが、
それだと周辺が大きく欠けるので、設定を「3:2」にして撮影しています。
それでも周辺に像は来てないですが、あまり気にならないレベルになってると思います。
背景をボカせないレンズでクモを撮っても、
全く存在感が出なかったりしますが、さすがにF1.2だと、
完全にそこに「浮いている」ような感じが出てきます。
「気持ち悪いからヤメレ」といわれそうですが。
渋谷・神泉駅の近くで見かけたニャンコ。
ボケもそうですが、ヒゲや毛並みもバッチリ捉える解像度。
この子は何枚か写真を撮ったので、
次回のエントリーで改めて取り上げたいと思います。
単に「Canon PHF 35mm F1.2」で検索すると、
こんな電気絞り制御じゃない、もっと「普通」のレンズが出てきます。
恐らく、光学系はそれと同じだと思うので、
絞り制御含め、普通な使い方をするならそちらの方が良いと思います
(まぁ、CマウントをMFTで使う時点で普通じゃないって話しもありますが…)。
ただ、開放でも破綻の無い画で撮れる性能を持ってますし、
MFTで使うと70mm相当の中望遠レンズとして、
被写体を浮かせるような被写界深度の浅い写真を撮れます。
今まで、この手のレンズにはあまり縁がなかったですが、
動画での活用含め、印象的な写真を狙って撮ってみたいと思います。
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