ここ数年、中国など東アジアのメーカーのレンズが多く日本に入ってきております。
7Artisans、LAOWA、KAMLAN、VILTROXなどです。
これらのレンズに共通しているのは、
構造自体は大昔のマニュアルレンズと同等である事
(マニュアルフォーカス、単焦点、手動絞りなど)、
一方、非球面レンズなど最新のテクノロジーも活用し、
安価ながらユニークで写りの良いものが多いようです。
(中には「安かろう悪かろう」なものもあるようですが。)
こういったレンズの需要が増えている背景には、
ミラーレスカメラの普及にともない、
液晶やEVFを見ればピントも露出も被写界深度も分かるので、
レンズがフルマニュアルであっても使い勝手があまり犠牲にならない、
なのでAFやAEなどの機構を思い切って省く事で価格を抑える事ができる事、
また一眼レフと違い、レトロフォーカスでなくとも、
比較的自由にレンズの設計をする事ができるので、
ある程度のレンズ製造技術があれば充分によい物を作る事ができる、
といった理由があるのだろうと思います。
初めてこの手のレンズを購入したのは昨年末で、
銘匠光学が発売した「TTArtisan 35mm F1.4」でした。
APS-Cの光学系に特化した小型軽量設計、
開放から比較的しっかり写る光学系、
そして1万円を切る価格で、興味本位で導入しました。
正直、35mmという焦点距離を生かす場面で撮影する機会が少なく、
まだ大した写真を撮っていないのですが、
この価格でこの大口径、それでいて割としっかり写る、
というのは非常に大きな驚きでした。
さて、そうこうしているうちに、先日、仕事現場で写真を撮っていた時、
広角の単焦点として重宝してきた「Tokina SL 17mm F3.5」で撮った写真が、
フワッと白けて写る事に気付きました。
元々クモリの発生しやすい玉である事は承知しておりましたが
(かつて所有していた同じレンズもクモリ玉でした)、
ついにこの時が来てしまったのです。
さて困りました。広角の単焦点レンズを探さないといけません。
しかし、中古の広角レンズはどれも高値で取引されています。
20mmでは少し足りない、しかし15mm以下はちょっと広すぎる。
17mmが一番いい焦点距離なんだけどなぁ、
と思いながらネットで情報を集めておりましたら、
どうやら近日中に「TTArtisan 17mm F1.4」が出るらしい、
というウワサを目にしました。
しかも、価格は1万円台半ばで収まるらしい、との事。
35mmでよい印象を持っていたので、「これが出たら買いだな」
と思いましたが、その数日後、本当に発売が発表されたのでした。
銘匠光学よりアンダー2万円のAPS-C用17mm F1.4。直販限定の鏡筒デザインも(デジカメWatch)
出たら買う、と決めてましたし、
広角の単焦点はないと不便ですし、
なにより17mmでF1.4って一体何?、という興味もあって、
早速購入してみました。
F1.4という高速レンズが、アタッチメント径40.5mmに収まるなんて、
古い人間?には「キツネにつままれた」ような気分です。
レトロフォーカスの制約から開放されているとはいえ、
とても信じられないスペックです。
早速、お出かけついでにX-S10に取り付けて持ち出してみました。
F1.4~2.8くらいはお遊びでオマケ程度でいいかな、
と思っておりましたが、実力のほどはいかがでしょうか。
Fujifilm X-S10
TTArtisan 17mm F1.4
1/160秒 F1.4 (ISO160)
JR総武線 飯田橋駅
2021年6月18日
(フィルムシミュレーション「Velvia」/グレインエフェクト「弱・荒」)
Fujifilm X-S10
TTArtisan 17mm F1.4
1/160秒 F1.4 (ISO160)
JR総武線 飯田橋駅
2021年6月18日
(フィルムシミュレーション「Velvia」/グレインエフェクト「弱・荒」)
試写なので、あまり意味の無い写真でスミマセン。
いくらなんでも開放で遠景を撮る事はないだろうな、
と思ってましたが、これもテストだ、と割り切り、
丁度天気も悪かったので無理して撮ってみた…つもりでしたが、
撮影した画像を観て、正直「えっ?」と思いました。
開放で、これだけまともに写るのか?と。
レビューを検索すると、ほとんどの感想は
「開放でも意外と写るけど、まぁ値段相応」といった感じです。
でも、これだけ写れば充分すぎやしないでしょうか?
2段ほど絞れば、更にしっかりとした写りになります。
Fujifilm X-S10
TTArtisan 17mm F1.4 ※ややトリミング
1/125秒 F2.8 (ISO1600)
JR中央線 四ツ谷駅
2021年6月18日
(フィルムシミュレーション「Velvia」/グレインエフェクト「弱・荒」)
中央線の異端児、常磐線からやってきた209系1000番代です。
休日は走っていない事が多くてまだ撮れておりませんでしたが、
ようやく実際に走っているところに遭遇する事ができました。
こちらは絞りを2段絞っておりますが、
バッチリと解像しております。
全く問題ありません。
正直な話し、もしイマイチな写りだとどうしようか、
と内心ドキドキしておりましたので、
まさかこうも立派な仕事をしてくれるレンズとは思わず、
購入して大正解だったと喜んでいるところです。
このレンズにはフードが付属しておりませんでしたので、
ヤフオクで「ライカ風」「ワイド用」というものを見つけて購入。
金属製でレンズ本体との一体感あり、
またフード装着したままで43mm径のキャップを取り付けられる
(そして落札品にはキャップもオマケで付いてきた)ので、
フード付けたままで持ち歩く事もできます。
これで、X-S10の標準レンズとして付けっぱなしでOKです。
X-S10+TTArtisan 17mmとの組み合わせ、なかなかの黄金コンビです。
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