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2022年3月

2022年3月13日 (日)

明治神宮外苑をPENTAX K2で撮る

ペンタックスKマウント用のフィルムカメラとして保有している
「SuperA」も「P30」も調子が良くないので、
新たに「K2」のボディを買ってきました。
以前に「KM」「KX」を使ったこともあるので、
これで「Kマウント初号機3兄弟」を一通り使った事になります。

代わりに、と買ってきたとはいえいつもの如くジャンク品。
マウント周りのISO(ASA)のダイヤルが回らなくなっていたので、
分解して掃除しグリスを塗り直し、組み直して修繕完了。
電子式シャッターなので電池を入れないと動作しませんが、
幸いシャッターも露出計もちゃんと動いてくれているようです。
ファインダー内に筋が見える(プリズムの腐食)のが気になりますが、
撮影には支障ありません。

という事で試写に出ましたが、
明治神宮外苑の再開発で木が1000本伐採される、
というとんでもない話しを聞いたので、
今から撮っておかねば、と思って足を運びました。

※これ以上東京で再開発してビルを作る事にどんな意味があるんでしょうね。
所詮は不動産屋やゼネコンを儲けさせるための行為でしかないような気がしますが…。

220306_05

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220306_18

しかし、今回一番エモく撮れた写真は、
新しい国立競技場とミゼットIIのツーショットでした(笑)

220306_13

あえて露出補正をかけず絞り優先オートで撮影しましたが、
大きく露出が大きくずれるようなカットもなく良好でした。
さすが、Kマウント最初の最上位機種は伊達ではありませんでした。

※写真は全て、
PENTAX K2
SMC PENTAX-A 24-50mm F4
Kodak Pro Image 100
絞り優先AE F5.6~8.0
2022年3月6日

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2022年3月 7日 (月)

追悼・西村京太郎氏~「西日本鉄道殺人事件」を読む

作家の西村京太郎氏が91歳で亡くなった、との報道がありました。

物心つくかつかないかの小さい頃、「西村京太郎トラベルミステリー」
(まだ三橋達也が十津川警部を演じていた時代)を見て、
赤いDDやブルトレの姿に興奮していた事を覚えています。

訃報を聞いてすぐ、紀伊國屋に立ち寄ってみたところ、
新潮文庫の新刊コーナーに「西日本鉄道殺人事件」
が平積みされているのを見かけましたので買ってみました。
まだ本当に発売されたばかりのようです。
そして、オビには「91歳の老人が殺害された」との記載。
奇しくも西村京太郎氏は享年91歳で没したとの事。
更に、文章の書き始めは
「今回の旅が、最後の旅になるという予感を抱いていた。」
という因縁めいた一文で始まります。
実際には当作が絶筆というわけではないようですが、
その覚悟と決意を持って書き始めたであろう事かと推察するには充分です。

西鉄ライオンズ愛を娘に語る主人公の坂西勝利(かつとし)氏が、
西鉄の車内で何者かに殺害される事件が発生する。
突然日常を遮断されて戸惑う娘・弓子は福岡県警の藤田警部の質問に対し、
この後鹿児島に連れて行かれる事になっていたが、
その理由と目的は聞かされていないと語り、藤田警部は困惑する。
坂西家の会社と家が東京にあるので、
警視庁捜査一課・十津川班に捜査協力要請がなされ、家宅捜査を実施。
そこで十津川警部が、仏壇の奥に隠されていた古い1枚の写真を見つける。
写っていた若者の服装に見覚えがあった十津川警部は、
亀井刑事に頼んで太平洋戦争の記録写真集を取り寄せる。
すると、その服装は陸軍少年飛行兵のものと分かり、
更に鹿児島・知覧基地に配属されていた特攻兵である事を知る…。

十津川警部シリーズと言えば、
ダイヤ上のトリックを活用したアリバイ作りが定番ですが、
この「西日本鉄道殺人事件」では、
この後、本文の恐らく8割から9割を、
太平洋戦争時の特攻の話題が占めています。
本来、もう一人の主役とも言える亀井刑事はもちろん、
十津川班のメンバーもほとんど登場しません。
肝心の西鉄自体もほとんど登場しない程です。
十津川警部と藤田警部を中心に、
被害者と特攻との関係、そして特攻とはどんなものだったのか、
といった事が十津川警部の捜査や言動を通じて延々と語られていきます。
読みながら、これが十津川警部シリーズである事を忘れるくらいでした。

西村京太郎氏と言えば、ミステリー小説作家としてだけでなく、
戦争体験者として戦争反対の言葉を強く語っていた人物でもありました。

西村京太郎が陸軍エリート養成学校で見たカルト的精神主義「日本人は戦争に向いていない」

「西日本鉄道殺人事件」の文中、印象に残る一節がありました。
特攻に関して十津川警部が考えている文章の中で、

「今、立ち止まってきちんと総括しなければ、
日本はまた無意味に若者を殺すようになってしまうのではないか。」

十津川警部の心情で代弁をしつつ、これはひょっとしたら西村氏自身の言葉がにじみ出てきたのではないか、
と思われてなりません。

執筆時点でもう90歳近かったはずの西村氏の文章は実に明晰で、
この文章を原稿用紙に手書きで書いていた事が信じられません。
タイトルであるはずの西鉄自体もほとんど登場しないような、
異例な内容の話しでしたが、それだけに読み応えがあり、
考えさせられるものでした。
できれば、西村氏追悼として、
夏場恒例の戦争特集の一環としてドラマ化してくれないかな、
と考えたりもしました。

合掌。

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